トップページ > 校友会報「りつめい」最新号紹介 > 校友会報「りつめい」No.265(2016 JUNE)
ミライロ 代表取締役社長
垣内 俊哉さん(’12経営)
生まれつき「骨形成不全症」という、骨が折れやすい難病とともに生きてきた垣内俊哉さん。手術を繰り返すも「歩きたい」という夢は叶えられなかったが、立命館大学に進学後、バリアフリーマップの制作や改修を提案するミライロを起業。「高齢化が進む今、バリアフリーで新たな市場が開拓できる」と訴え、企業や公共施設から依頼が相次ぐようになった。起業して6年、垣内さんに「一番嬉しかったこと」を聞くと、それは意外にも…。仕事の原動力、そして未来の目標を聞いた。
今回の撮影は、垣内さんが顧問を務めるパラリンピックサポートセンター(東京都港区赤坂)で行われた。オフィス内は、誰もが使いやすいユニバーサルデザインが徹底されている。そこで垣内さんを待つ間、ふと「名刺をお渡しする時、腰を落としたほうがいいのかな」と考えた。見下ろすよりも視線の高さを合わせたほうが心地がよいだろうか、しかしこちらがしゃがむと逆に気を遣わせてしまわないだろうか。こんな時、マナーを知っていたらスマートなのに…と不勉強を悔やんだ。
ミライロでは、障害者や高齢者への日常での対応、サポートについて学べる『ユニバーサルマナー検定』を実施している。先日、テレビ報道番組のキャスターを務める人気グループ、嵐の櫻井翔さんが受験したことで若い世代からも注目が集まり、申し込みが殺到中だと言う。「“知っていれば、少しかっこいい大人になれる”そんな気持ちで気軽に学んで欲しいと思っています」と垣内さん。
ちなみに「名刺を渡す時は、腰を落として目の高さを合わせる」が正解だとのこと。
ミライロ「ユニバーサルマナー検定」
http://www.universal-manners.jp/
北陸新幹線の開通で注目の集まる北陸三県。それぞれの地に、立命館の校友が地域の魅力づくりに奔走している。ものづくりの国、福井では和紙問屋の9代目、杉原半四郎さん(’57経済)と和紙で婚姻届を制作、販売している若山大輔さん(’10経営)に越前和紙の魅力を聞いた。また自然の王国、富山では、富山市ファミリーパークの山本茂行さん(’70入学 産社)に、さらに伝統文化の街、石川では輪島塗の「漆の里交流館」をオープンさせた木谷廣夫さんに、これまでの道のりと今後の取り組みを聞いた。
劇団民藝所属 俳優・声優
佐々木梅治さん(‘68経営)
韓国ドラマ『チャングムの誓い』で“トックおじさん”役の声優として、お茶の間の人気を得た佐々木梅治さん。戦後から日本の舞台芸術を牽引してきた劇団民藝で数々の舞台に出演する他、ライフワークの読み語りで全国各地を訪れている。北海道で生まれ育った佐々木さんの、小学校時代のランプ生活、卒業後の俳優生活を支えてくれた“忘れられない先輩”、そして「鼻をへし折られた」という挫折体験と転機とは。
佐々木さんの読み語りは、『父と暮らせば』や『にんじん』を、声だけで何役も演じて聞かせる。舞台にはイスがひとつだけ。派手な演出はないが、佐々木さんの持つ声の表現力で、気付くとストーリーに夢中になり、あっと言う間に1時間が過ぎていた。取材当日は100人以上の子どもたちが観劇していたが、誰も席を立たないほどだった。
楽屋を訪れる時、45年の芸暦を持つ方に失礼があっては…と緊張しながらドアをノック。ところが楽屋では自らお茶を入れてくださったり、訪問した子どもたちと写真を撮影したりと、非常に気さくで拍子抜けしたほどだった。上演後、佐々木さんのトランクを運ぼうとすると「大丈夫、自分のことは自分でやるって決めているんだ」。
卒業後、芝居一本で生計をたてるには数々の苦労もあったに違いない。けれどいつも謙虚に芝居と、そして人と向き合ってこられたのだろうと想像できる、佐々木さんの素顔だった。