3月6日(土)、立命館大学朱雀キャンパス・関西医科大学枚方キャンパス(TV会議システム中継による)にて、日野原重明先生講演会「日本の医療をどう改革すべきか―医療を受ける人々の立場に立って―」を開催した。
関西医科大学と立命館大学は、文部科学省平成21年度「大学教育充実のための戦略的大学連携支援プログラム」事業の採択を受けて、両大学によるライフサイエンス分野でグローバルに活躍できる人材を育成する教育プログラム構築を推進している。本講演会は、聖路加国際病院理事長で長年に渡り医療の最前線で活躍される日野原重明氏(聖路加国際病院理事長)を迎えて、これからのライフサイエンス分野の教育のあり方について講演を行った。
講演に先立ち、谷口吉弘・生命科学部学部長より取組紹介にて、「21世紀は生命科学の時代である。関西医科大学の医学、立命館大学の理学・工学・薬学の分野を融合し、ライフサイエンス分野の第一線で活躍する人材を育てていきたい」と語った。
また、伊藤誠二・関西医科大学副学長は「今までの医療に求められていたのは、『いかに寿命を伸ばすか』であったが、これからの医療には『いかに健康に生きるか』といった視点が求められる」と述べた。
記念講演では、日野原氏は「健康づくりの主体は自分自身。すべての病気を薬で治せるわけではない。精神に原因がある病気も多い。自分自身が日常的に『生き方』を考え、達成感を得ることができるようにすることが必要だ」と訴えかけた。自身が元気な秘訣としても、食事制限や「エスカレーターを使わずに、使っている若い人と競争し、先に到着する達成感の話など、会場を沸かせた。
そして、「医療の改革はみなさんが改革しなれればならない」と訴えかけ、「QOL(Quality of Life)を高め、生きがいのある命を長く続けることが大切である」とも語り、聴衆に命の重要性を示した。その外的環境づくりとして、既存の枠にとらわれない医学教育体系の創成の必要性を、今日の医学教育基礎を築いたWilliam Osler の「Medicine is an art based on Science 」(医療とは科学に支えられた技である)という言葉と、医学と他の学問との関わりの相関図を用いて説かれた。
参加者は約450名(朱雀キャンパス)。関西医科大学枚方キャンパスにはTV会議システムで中継され、両会場からは時折笑いがおきる和やかな場面も見られ、参加者は日野原氏の話に引き込まれていた。
当日の様子はこちら。
http://www.ritsumei.jp/pickup/detail_j/topics/5494/date/3/year/2010