衣笠キャンパスに包まれるように存在する名刹「等持院」。京都の中世都市としての発展の礎をつくった室町幕府の創始者足利尊氏をはじめとする歴代足利将軍家の菩提寺である。現在でこそ衣笠キャンパスに囲まれるように立地しているが、当初は衣笠キャンパス全体、さらに南にひろがる広大な寺域を有し、五山十刹(ござんじっせつ)と呼ばれる禅宗寺院の十刹の筆頭寺院として栄え、衣笠地域の住所表示も等持院を中心に展開している。 今年は、1305年に京都府綾部市の「安国寺」(全国の安国寺の第1号としておかれ、現在も残る「丹波安国寺」)門前の塔頭寺院で尊氏が上杉氏(綾部を本拠とした戦国大名上杉氏のルーツ)を母に生まれて丁度700年目にあたる。後醍醐天皇を敬愛しつつも袂を分かたざるをえなかった尊氏は、彼の死を憂い、夢窓疎石と相談して嵯峨に天龍寺を創建、さらに戦乱に散った武将らを慰霊するために安国寺を置いた。 なお現在では、等持院の住職は天龍寺管長が務められており、副住職は校友の川勝承哲さん(S32文)が務められている。 昨年亡くなった名誉館友である校友、水上勉さんにもゆかりのある寺であり、マキノ映画や衣笠貞之助監督のふるさと等持院撮影所の旧地でもある。また、校友の長門裕之さん(S31文)が弟の津川雅彦さんと幼年期に走りまわっていた場所でもある。 しかし、衣笠キャンパスの建物群によって、足利義政お気に入りの四方を展望できたという茶室「清漣亭」の北側視界を遮り、借景としての衣笠山を見えなくしたことで迷惑をかけてきたとも言える。 そこでこの秋は、京都歴史回廊協議会の取り組みとして、また足利市、綾部市、足利ゆかりの会などと連携した取り組みとして足利尊氏生誕700年のプロジェクト事業が準備されつつある。 すでに11月の立命館土曜講座4回は、次のような内容で準備中であり、このほかにも等持院の寺宝展(10月7日から11日)に合わせた諸事業を計画中である。プロジェクトでは興味関心を持たれる校友ボランティアの協力を歓迎しており、ご希望の方は京都歴史回廊協議会(校友会HPからリンクしている)事務局までご一報下されば幸である。 < 立命館土曜講座 > 特集:足利尊氏と等持院-尊氏生誕700年に寄せてー 11月 5日 川嶋将生(文学部教授) 「等持院をめぐる室町文化」 11月12日 杉橋隆夫(文学部教授) 「足利尊氏の人と政治」 11月19日 大山喬平(COE招聘、京都大学名誉教授) 「社会経済史上の足利尊氏」 11月26日 中本 大(文学部助教授) 「足利尊氏の文学的到達 -夢窓疎石との交流を通して-」 | |
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