大学HPに記事が掲載されました。
https://www.ritsumei.ac.jp/news/detail/?id=3002
2023年1月19日(木)、第168回直木三十五賞(日本文学振興会主催)の選考委員会が開催され、本学文学部を2003年に卒業された千早茜さんの作品『しろがねの葉』(新潮社、2022年)が選ばれました。
千早さんは、2008年「魚神(いおがみ)」で第21回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。『あとかた』(新潮社、2013年)、『男ともだち』(文藝春秋、2014年)がそれぞれ150回、151回直木賞候補にノミネート。3度目の候補作で受賞を果たしました。
受賞作は、戦国末期、シルバーラッシュに沸く石見銀山を舞台に、過酷な環境のなか、運命に抗い生きた、少女ウメの生涯を描いた作品です。今次の受賞を機に、千早さんのさらなる活躍が期待されます。
千早茜 著『しろがねの葉』(新潮社刊)
文学部 中川優子学部長のコメント
千早茜さんの『しろがねの葉』の直木賞受賞を心よりお祝い申し上げます。石見銀山を舞台とした物語には、魅力ある文体により生き生きとした登場人物が描かれており、作品に引き込まれてしまいました。
本学での学びを含めてこれまでの研鑽が実を結んだのだと思います。
そのような場を提供している学舎の一員として、今回の受賞の報に接し、大変嬉しく思います。後輩達にとって大きな誇りそして刺激となるでしょう。さらなるご活躍をお祈り申し上げます。
指導教員 上田高弘教授(文学部)のコメント
千早茜さん、直木賞受賞おめでとう!
そう、卒業後しばらくは、あなたの消息をぼくは知りませんでした。知ったのは小説家としてのデビュー後。同姓同名の文字列が背に刻まれた一冊の書物(泉鏡花賞受賞作『魚神』)を書店の棚に認め、カバー袖の短いプロフィールから「本人」と確信し、隠せぬ驚きと祝意をその日のうちに届けました。いえ、同時に書き添えたはずですが、あなたの卒業論文がすでに、ある外国小説が描きだす人間の〈生/性〉のありように透徹した眼を向け、それ自体が一編の物語を胚胎していたことにも思い至りました。その再認の日、驚きは確信そしてさらなる予感へと変わり、だから今回の受賞にも、ぼくは少しも驚かないのです。ますますのご活躍を心よりお祈りしています。