2022年10月2日に立命館大学英米文学同窓会が開催されました。
開催レポートが届きましたので、以下に掲載いたします。
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去る10月2日(日)、2019年以来3年ぶりとなる英米文学同窓会を開催しました。今回は美しく改装された清心館を会場とし、オンラインでの同時配信も行いました。当日は会場参加者が19名、オンライン参加者が8名でした。同時配信を行うことで、初めての方や遠方にお住まいの方にも気兼ねなく参加いただけたようです。
恒例となっているミニレクチャーは、1971年ご卒業の岡田則男さんに講師をお願いし、「伝えたい永原先生の『消えた広島 ある一家の体験』」と題してお話しいただきました。岡田さんは私たちの恩師、永原誠先生の回想録『消えた広島 ある一家の体験』(ウィンかもがわ、2013年)を英訳され、この夏、The Story of a Family in Hiroshima That Vanished (ウィンかもがわ)というタイトルで出版されました。
英訳に取り組まれた思いを岡田さんは次のように述べていらっしゃいます。
「1945年8月6日朝、一発の原爆投下によって、それまでの普通の家庭の幸せな生活が消された、つらい体験談です。このお話を、私は、一人でも多くの外国からの学生や教員のみなさんにも読んでいただきたいと考え、英訳に取り組みました。永原先生は、1965年に京都原水爆被災者懇談会の結成に参加し、亡くなる直前まで、その世話人代表として、被爆者の心に寄り添ってこられました。先生のNo More Hiroshimas! の静かな叫びが、The Story of a Family in Hiroshima That Vanished をつうじて、伝えられることを願っています。」
岡田さんは、生前に永原先生から被爆体験について聞いたことがなかったことに触れ、岩井忠熊先生の言葉を引いて、本当につらい話は本人の口から語り得ないものだとお話しされました。ご講演後の質疑では、英文ニュースライターを務めてこられた経験を踏まえて、英語にできない日本語はないという信念や、英文を書く際には “wordy”(冗長)にならないようつねに心掛けていることなどを紹介いただきました。その後は、永原先生の思い出などを語り合いました。
岡田さんの英訳によって、広島の惨禍を繰り返してはならないという永原先生の思いが言葉の壁を越えて伝わっていくことを願います。また、英米文学同窓会として英語版の紹介に努めてまいります。
※集合写真撮影時のみ、マスクを外しています。