7月20日(水)、第167回芥川龍之介賞(日本文学振興会主催)の選考委員会が開催され、本学文学部を2011年に卒業された高瀬隼子さんの「おいしいごはんが食べられますように」(『群像』2022年1月号掲載、単行本・2022年3月22日 講談社発行)が選ばれました。
高瀬さんは、2019年に『犬のかたちをしているもの』で第43回すばる文学賞を受賞し、作家デビュー。2021年には『水たまりで息をする』が、第165回芥川賞候補にノミネートされ、2度目の候補作で受賞を果たしました。
受賞作は、仕事・食べ物・恋愛を軸に、とある職場で繰り広げられる男女の複雑な人間関係を描いています。今回の受賞を機に、高瀬さんの更なる活躍が期待されます。
高瀬隼子さん「おいしいごはんが食べられますように」(『群像』2022年1月号掲載、単行本・2022年3月22日 講談社発行)
高瀬隼子さんのコメント
このたび、『おいしいごはんが食べられますように』という小説で、第167回芥川龍之介賞を受賞いたしました。わたしは、大学在学時に所属していた立命文芸創作同好会の友だちと、大学卒業後も文芸同人サークルの活動を続けてきました。小説は1人でも書き続けていたに違いないのですが、作品の更新に自覚的でいられたのは、立命館時代からの友だちのおかげです。
大学で出会えた友だち、先生方、哲学専攻での学びや、あの場で得られた経験の全てに感謝しております。
ありがとうございました。
文学部 中川優子学部長のコメント
高瀬隼子さんの芥川賞受賞を心よりお祝い申し上げます。本学での学びや他の学生達との交流が高瀬さんの作家としての活動に大きく寄与したとうかがっています。そのような場を提供している学舎の一員として、今回の受賞の報に接し、大変嬉しく思います。後輩達にとって大きな誇りそして刺激となるでしょう。さらなるご活躍をお祈り申し上げます。
指導教員 谷徹教授(文学部)のコメント
芥川賞受賞、おめでとうございます。同慶の至りです。思い起こすと、あなたは2回生の時に哲学専攻での懇親会の世話役をしてくれました。3回生からのゼミではライプニッツの研究を進めました。また、あなたは動物倫理の擁護派でもありましたね。あなたには私の知らない経験もあったことでしょう。そのなかであなたの人間観察と思索と表現が熟成し、あなたはあなた自身であることを実現したのでしょう。それが現在のあなたの作品にもつながっていますね。その大きな成果が今回の受賞ですが、これはまた、ある意味では予定されていたことの実現であったかもしれません。
そうだとしても、その実現はまだ終わりではなく、むしろ、新たな始まりでしょう。あなた(のモナド)からの表現・表出がさらに判明にさらに豊かになっていくことを、ともに言語の可能性を求める一人として楽しみにしています。
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