2016年11月12日(土)~11月13日(日)に今年で5回目を迎える「2016年度立命館大学校友会 復興支援事業 東北応援ツアー福島県コース」が実施された。「東日本大震災を学ぶ」、「観光して復興支援」、「食べる復興支援」を目的のツアーには全国各地から校友が集まった。全国から集まった校友は19名、福島県校友会からは8名、東日本大震災復興支援特別委員からはツアーコーディネーターとして石井英幸委員(’95・文)、仲川将史委員(’06・法)の2名、立命館大学校友会事務局からは2名の計31名が参加した。
【1日目】
1日目は晴天に恵まれ、郡山駅で集合した後、最初の訪問地である浪江町役場へと向かった。バス車内では昼食のお弁当を食した後、福島放送勤務で福島県校友の方より当時の様子がわかるDVDを鑑賞しながら、当時の体験談や車窓から見える福島第1原発、高速道路上の放射線量を示す電光掲示板、ホットスポット、数々の除染土等が詰まったフレコンバッグ等、について説明があった。浪江町役場到着後は浪江町の本間副町長にバスに同乗いただき、配布資料『福島・浪江町の現状と課題』をもとに浪江町の現状について話があった。実際に参加者全員でバスから下車し、浪江町を歩いた。市街地は避難指示解除準備区域となったものの、人っ子一人誰もいない町、消えている信号、時折通る車は工事関係、朽ち果てた家、入り口の窓ガラスが空き巣により割られた家、町並みはあるものの人の気配を一切感じない、時間が止まったままとなっている景色を目の当たりにし、言葉を失っている参加者もいた。
次に、楢葉町にあるサッカーナショナルトレーニングセンターJヴィレッジの視察・見学を行い、㈱日本フットボールヴィレッジの小野取締役統括部長よりJヴィレッジ復興プロジェクトについて説明を受けた。「Jヴィレッジは、東日本大震災直後から福島第1原発の前線基地として使用されていたが、その役割を終了し、「新しい」Jヴィレッジを2018年夏頃には一部再開、2019年春頃までには本格再開し、2020年の東京オリンピックには日本代表合宿地に決定した。福島県復興の姿を国内外に発信していきたい。その為には全国のサポーターの皆さんからの支援が必要である。」という話に参加者は熱心に聞き入っていた。
その後、宿泊先であるホテルハワイアンズへ移動。
ホテルに到着後行われた勉強会では、福島県校友会桑原勇健会長(‘69・理)の挨拶ではじまった。校友であり福島大学の中井勝巳学長(’78・院法)より、資料『福島の震災復興と未来~大学(立命館大学・福島大学)の関わり方~』に基づき福島県の被害状況、避難者数の推移、観光・農業再生、福島の復興創生をはじめとした「福島の震災復興と未来」や、立命館大学・福島大学の震災復興への関わり方について講演をいただいた。終了後の質疑応答では、質問が絶える事がなく、予定時間も大幅に過ぎるほど意欲的な参加者が多く、熱冷めやらぬまま会場を移し、交流会へと続いた。交流会は宮城県校友会宮川晋氏(’96・法)の司会のもと、桑原勇健会長の開会の挨拶ではじまり、学年、学部、住居地などの垣根を越え、参加者、福島県校友、復興支援特別委員同士で交流を深めた。福島県校友会からは地酒の差し入れをいただき、終始和やかな雰囲気のなか会は進んだ。最後に馬場幸蔵幹事長(’76・産社)の閉会の言葉に続き、復興支援特別委員である仲川委員のリードで全員でグレーター立命を歌い、盛会のうちに会は終了した。その後希望者全員でフラガールショーを見に行き、フラガールのフラダンスや迫力のあるボリネシアンショー等を満喫した。鑑賞後は参加者ほぼ全員福島県校友会公式二次会に参加し、その後三次会へと続いた。
【2日目】
2日目は、はじめにITを活用してトマトを栽培するトマト農家あかい菜園を訪問。あかい菜園㈱船生社長より、原発事故の風評被害の影響で出荷量が激減した為、大玉トマト中心の経営から顧客のニーズにより、フルーツトマトやプチトマト等多品種トマトの栽培に方針転換を行った事や、ITを活用して施設内の温度や湿度、日射量、生育状況に応じた潅水量や施肥量などを一括制御して高品質トマトの生産に取り組んでいる事等、生産現場の現状を熱く語っていただき、参加者は写真を撮る等、興味深く耳を傾けていた。
「環境水族館」アクアマリンふくしまでは、(公財)ふくしま海洋科学館の塩見副館長より、東日本大震災時の被害状況から再オープンに向けての復興までの道のりを、実際に津波が押し寄せてきた時の映像を交えながら、震災のガイダンスを受けた。その後黒潮と親潮がぶつかる福島県沖の海を再現した水槽や、自然に近い形で生態観察が出来る水族館など館内を見学し楽しんだ。
両日とも好天に恵まれ、道中車窓からは赤、黄色に色づく木々を眺めながらの2日間だった。
今回の参加者は「先生」という立場の方々が半数以上を占めた事もあってか、バス車内、移動中を問わず、福島県校友の方や勉強会の講師、地元の方々に積極的に質問する光景が見受けられた。
「訪問先の方々をはじめ福島県の方々が懸命に復興に向けて頑張っている姿を生で肌で感じ、見聞きし、学習を出来た事が良かった」「今回のツアーに参加しなければ「反原発」の意味が今後もわからなかった」「再び必ず訪れる場所」等、参加者の方々から感想をいただき、東北応援ツアー福島県コースは好評をもって終了した。
なお、校友会事務局からは古澤課員、松野課員が参加した。