2016年11月5日(土)~11月6日(日)に今年で5回目を迎える「2016年度立命館大学校友会 復興支援事業 東北応援ツアー岩手県コース」が実施された。「東日本大震災を学ぶ」、「観光して復興支援」、「食べる復興支援」を目的のツアーには全国各地から校友が集まった。全国から集まった校友は19名、岩手県校友会からは9名、東日本大震災復興支援特別委員からはツアーコーディネーターとして今中智幸委員(’94・法)、小野寺正耕委員(’96・経済)の2名、立命館大学校友会事務局からは3名の計33名が参加した。
【1日目】
1日目は、しとしとと雨が降る朝でスタートした。盛岡駅、花巻空港で集合した後、一路バスで遠野伝承園へと向かった。遠野伝承園に到着する頃にはすっかり雨もあがり、青空が広がり晴天となった。遠野伝承園では、昔の遠野の農家の家(南部曲がり家)があり、生活様式の見学や、また民話にも出てくるおしらさまを祀っている御蚕神堂(おしら堂)を見学した。またかっぱ伝説で有名なカッパ淵にも足を延ばし、天気が良い事もあってか外で昼食のお弁当を食している方々も多く、思い思いに『遠野物語』の遠野を楽しんだ。
その後釜石駅へ。当日は『世界津波の日』という事もあり、防災訓練のサイレンが鳴り響いた。釜石駅から盛駅までは、震災学習列車(三陸鉄道南リアス線)に約70分乗車し、三陸鉄道の社員の方がガイドとなり、震災当時の被害状況や現在の復興状況についての震災学習が行われた。車窓からリアス式海岸の景色を見下ろすと、津波によって流された後は今ではかさ上げされ、防波堤の上には更に新しい防波堤が建てられ、震災当時から被災地の状況が刻一刻と変わっていく様を当時の写真を交えながら説明を聞き、被災地を一望出来る三陸駅では途中停車して全員で黙祷を捧げ、恋し浜では一時下車しながら終点の盛駅に到着した。
盛駅からは大船渡の町並をバスの車窓から眺めながら、宿泊先である気仙沼プラザホテルへ移動。
ホテルに到着後行われた勉強会では、岩手県校友会菊池宏会長(’65・文)の挨拶ではじまった。岩手県校友であり陸前高田市在住の鈴木正彦氏(’71・経済)、大船渡市在住の金野良一氏(’81・文)、陸前高田市役所勤務の高橋拓也氏(’06・経済)、大船渡市役所勤務の平野桃子氏(’12・産社)の4名の方より、震災当時についての話をしていただき、参加者の方々は皆熱心に耳を傾けノートにペンを走らせ、講演後は活発な質疑応答が行われた。
勉強会終了後会場を移して開かれた交流会は、菊池宏会長の開会の挨拶、乾杯ではじまった。交流会は学年、学部、住居地などの垣根を越え、参加者、岩手県校友、復興支援特別委員同士で交流を深めた。岩手県校友会からは地酒の差し入れをいただき、終始和やかな雰囲気のなか会は進み、最後に大橋謙一副会長(’71・産社)の閉会の言葉で盛会のうちに会は終了し、二次会へと続いた。
【2日目】
2日目は、陸前高田市にある七万本あった松の中、ただ1本東日本大震災の津波に耐え抜き、復興のシンボルとなった奇跡の一本松をバスの車窓から鑑賞し、道の駅タピック45で下車をした。全員で犠牲者の冥福を祈る為に黙祷を捧げた後は、復興まちづくり情報館にて、昨夜の勉強会に引き続き岩手県校友の鈴木正彦氏より、震災前の美しい高田松原の写真を手に、震災前、震災当時の話をしていただいた。その後、途中産直市場やまちゃんに立ち寄り地元の名産品を購入した後は、2011年世界遺産に登録された中尊寺金色堂へと向かった。バスの車内では、平泉町役場勤務で復興支援特別委員である小野寺委員より、平泉市、中尊寺金色堂についての説明を受け、到着後は現地ガイドの案内により中尊寺金色堂及びその周辺を散策。時期的にもちょうど紅葉の見頃という事もあり、錦色に染まった美しい景色を写真に撮る等、各自秋の中尊寺金色堂を満喫した。
ツアー初日の11月5日は『世界津波の日』であった。東日本大震災から5年半経過したが、まだまだ復興途上である。テレビや新聞などのマスコミの報道を通してからでしか見た事が無い被災地の現状を実際に目のあたりにし、岩手県校友の方や地元の方々から聞く震災前・震災当時・震災後の話に熱心に耳を傾けている参加者の姿が印象的だった。「この災害の復興にはまだまだ支援が必要であること、時間の経過と共に絶対に風化させてはいけないということ、現地を訪れて食事をしたり、東北の食材や特産品を購入することも地元の活性化につながること等々、まずは自分の周りの人に伝え、情報発信していくことも必要だと感じました」「参加して良かった」等と多くの参加者の方々から感想をいただき、東北応援ツアー岩手県コースは好評をもって終了した。
なお、校友会事務局からは曽谷課長補佐、朴課員、松野課員が参加した。