2014年10月11日(土)・12日(日)に「2014年度立命館大学校友会 復興支援事業 東北応援ツアー 宮城県コース」が実施され、全国から23名の校友と宮城県校友10名が参加した。
東日本大震災復興支援特別委員会からは藤川行江委員(1969・法)、田邊裕委員(1999・経営)、黒澤健委員(2011・経営)が参加し、3名の委員はツアーコーディネーターを務めた。
【1日目】
初日は石巻市を訪問し、校友の木村長努さん(1977・経済)が経営する「木の屋 石巻水産」の石巻本社工場所を見学し、木村隆之副社長から震災当時のお話を聞いた。
「木の屋 石巻水産」は東日本大震災の津波によって工場は跡形もなく流され、本社も津波で押し寄せた瓦礫が山のように折り重なり、シンボルマークであった魚油貯蔵タンク「巨大鯨大和煮缶詰」は元にあった場所から、500mほど離れた場所で発見された。震災直後は経済状況も厳しく、事業を続けていくことは難しいと廃業も考えたが、石巻の水産事業を復興したいという思いから従業員を1人も解雇することなく事業を再開。震災直後から現在に至るまで険しい道のりを歩んできたはずなのに、明るい表情で震災の経験を話す木村副社長の様子に、参加者達は「震災に負けず前を向いて進んでいる」石巻水産の力強さを感じた。その後、木村副社長からの計らいで、鯨ステーキが参加者に振舞われ、その肉厚でジューシーなステーキに参加者達は「鯨の肉がこんなに美味しいとは知らなかった」と舌鼓を打った。
続いて、震災で大きな被害に遭った女川地区を訪問し、震災で亡くなった方々へ全員で黙祷を捧げたあと、女川観光協会の案内のもと被災地を視察した。
「観光協会の方の『皆さん、津波が来たら、まず自分の命を守ることを一番に考えてください。東日本大震災のとき、家族が心配で家に戻った人の多くが津波に呑み込まれて亡くなりました。それぞれが自分の命を自分で守る。それが大切なんです』との言葉が印象に残った。普段から家族で『自分で自分の命を守る』ことを確認しあうこと、そして『家族はそれぞれが自分で命を守っている』と信頼しあうことが重要だと学んだ」と参加者からはコメントが寄せられた。
被災地視察の後、一行は移動し勉強会を行った。
勉強会は藤川委員の司会のもと、宮城県校友会の下村泰雄会長(1961・法)の挨拶で始まった。
東日本大震災の津波被害を受け、本店と3つの工場が流され、従業員3名の尊い命が奪われた「ささ圭」の佐々木圭亮さん(1977・産社)と佐々木靖子宮城県副会長(1976・文)ご夫妻からのお話があった。絶望的な状況からの立ち上がり、再建への道のりを歩んでいる佐々木さんご夫妻の話に参加者達は真剣な表情で耳を傾けていた。「ゼロどころかマイナスの状況からのスタート。閖上を復活させたい、従業員を守りたい。震災で販路を失い、まだまだ苦しい状況が続いているのに感謝を忘れず、前を見て歩を進めている『ささ圭』さんを応援したいと心から思った」と話を聞いていた参加者達は口々にした。
会場を移動し、懇親会が開催され、コーディネータである黒澤委員の司会のもと宮城県校友会の下村会長の乾杯の発声で会は始まった。
懇親会では、元日本代表で海外のリーグを経験し、現在は日本で活躍中のサッカー選手、松井大輔さんから寄付されたTシャツとエコバッグが配布され、「東北応援ツアー」の趣旨に賛同した松井選手のご家族から、このTシャツの寄付の申し出があった経緯や松井さんの被災地に寄せる思いなどが説明された。
宮城県校友と全国から集まった校友は同じTシャツを身にまとい、参加者たちは「松井選手が被災地を思ってプロデュースしたTシャツをみんなで着て語り合うと、より親密になれる気がする。松井選手に感謝したい」と口々にした。
宮城県校友会からは地元のお酒、そして佐々木さんご夫妻からは「ささ圭」の手焼き笹かまぼこが差し入れられ、「美味しい!」と参加者たちは口を揃えて喜んだ。
和やかな雰囲気の中、参加者は、年齢や性別、卒業学部などの枠を越えて参加者は大いに交流を深めた。
会の終盤には千田芳文宮城県校友会副会長(1974・文)のリードのもと立命館大学校歌が全員で斉唱され、大盛況のまま交流会はお開きとなった。
【2日目】
2日目は「食べて、買って、観光して復興支援」をテーマに松島、塩釜を訪問した。
瑞巌寺での観光のほか、遊覧船見物をした。湾内にある無数の島が東日本大震災による大津波を軽減したため被害が比較的少なかったと言われている日本三景の一つ、松島。観光客は戻りつつあるものの、名産であるカキやワカメは風評被害を受け、売上げは震災前と比べると減っていると船内アナウンスがあり、東日本大震災の影響の大きさを参加者達は改めて感じていた。
「ボランティアや義援金などの寄付をすることが『復興支援』だと思っていた。『被災したの観光地を訪問したり、地元のものを買ったり、美味しく食べたりすることも復興支援になる』と言う地元の方の言葉を聞いて目からうろこが落ちるようだった。自分にもできる復興支援にこれからは取組んでいきたい」と参加者たちからはコメントが寄せられた。
塩釜で地元のおいしい海産物を使った昼食をとったあと、津波で流された「ささ圭」の工場があった閖上地区を佐々木ご夫妻からの説明とともに車窓から見学した。
その後、「ささ圭」の店舗に一行は立ち寄った。
一つ一つ丁寧に焼き上げられたこだわりの笹かまぼこの試食を食べた参加者たちは、その美味しさに感動し、皆が笹かまぼこを購入した。
東北応援ツアー宮城県コースに参加した校友たちからは「被災地を励まそうと東北応援ツアーに参加したが、『石巻水産』さんや『ささ圭』さんが前を向いて頑張っている姿を見て、逆に自分が元気を貰いました。宮城県が一日も早く復興できるように、これからは自分にできる形で支援をしていきたい」と感想が寄せられ、東北応援ツアー宮城県コースは好評のうちに終了した。
なお、校友会事務局からは大場茂生事務局長、古石章子校友・父母課員が参加した。