2014年10月4日(土)・5日(日)に「2014年度立命館大学校友会 復興支援事業 東北応援ツアー 岩手県コース」が実施され、全国から18名の校友と岩手県の校友7名が参加した。
東日本大震災復興支援特別委員会からは今中智幸委員(1994・法)小野寺正耕委員(1996・経済)が参加し、両委員はツアーコーディネーターを務めた。
【1日目】
最初に遠野市のNPO法人「遠野まごころネット」が運営するボランティアセンターを訪問し、設立の経緯や活動内容などの説明を受けながら施設内を見学した。
「まごころネット」が震災直後から続けている支援活動や、震災から3年余が経ち被災地・被災者がボランティアに求める支援が変化してきていることが説明された後、遠野まごころネットが紹介されたドキュメンタリーを視聴した。その後、質疑応答の時間が設けられ、参加者たちからは多くの質問が上がった。
次に釜石地区を訪問し、ボランティアガイドに案内され、被災が大きかった地域を回りながら、震災当時の話を聞いた。「以前はここに街があったんです。でもあの日、何度も押し寄せる津波に待ちは飲み込まれてしまいました」。草が生い茂り更地となった街を高台から眺めながらツアーガイドは語たり、その想像を絶する当時の状況に参加者たちは言葉を失った。
続いて大槌町の被災地を車窓から見学したあと、一行は宿舎に移動し、勉強会を行った。
勉強会は今中委員、小野寺委員の司会のもと進行し、震災の当時、陸前高田市公民館の館長で震災を経験した鈴木正彦さん(1971・経済)が、地震発生当時の状況について話した。震災発声当時、町内会長だった鈴木さんは町内の被害状況などの調査をし、各過程への避難物資の配給、避難所でのルール作りをした経験などをし、メディアでは報道されないような当時の話に、参加者たちは熱心に耳を傾けた。
次に菊池宏岩手県校友会会長から、岩手県校友の被害状況や復興支援活動の報告が行われ、その中でツアーへの参加への感謝の意が述べられた。
勉強会の終了後は懇親会が開催され、岩手県校友会の菊池会長の乾杯の発声で懇親会は開会した。
懇親会では元日本代表で海外リーグを経験し、現在は日本で活躍中のサッカー選手、松井大輔さんから寄付されたTシャツとエコバッグが配布された。「東北応援ツアー」の趣旨に賛同した松井選手のご家族から、このTシャツの寄付の申し出があった経緯や松井さんの被災地に寄せる思いなどが説明された。参加者たちは「松井選手が被災地を想って作ったこのTシャツを岩手県の方たち、そして参加者のみんなで着ると心の距離が縮まる気がする」と喜んだ。
岩手県校友会から美味しい地元のお酒、酔仙酒造の「雪っこ」の差し入れがあり、卒業年・卒業学部、在住地などの枠を越えて参加者は大いに懇親を深めた。
最後は、参加者全員で校歌、応援歌を斉唱した後、大橋謙一岩手県校友会副会長による閉会の言葉でお開きとなった。
【2日目】
2日目は陸前高田市の沿岸地区を訪問し、津波の被害を受けた道の駅「高田松原」に設置された追悼施設の前で黙祷を行った。
続いて現地のボランティアガイドの説明のもと、「奇跡の一本松」を含む津波の大きな被害を受けた沿岸地区被災地を見学した。震災前の街の写真と見比べながら、震災発生時の話や被害状況、そして現状の説明があった。現在は山から切り崩した土砂を運搬するために設置された巨大なベルトコンベアがそびえ立ち、更地となっている沿岸部。そこに街があったとは信じられない現在の風景に参加者たちは言葉を失っていた。
「震災は風化しつつある。けれどボランティアガイドさんの話を聞いて震災はまだ終わっていないと感じた。ガイドさんの『去年まではガイドをしている途中、胸がいっぱいになり説明ができない状況に何度もなった。今年になってやっと涙を流さずに当時の状況を説明できるようになった』との言葉が印象的でした。被災地は復興に向けて懸命に歩を進めている。被災地を応援しなければと思った」と感想が寄せられた。
次に、「見て、買って、食べて復興支援」をテーマに、2011年に世界遺産に登録された中尊寺がある平泉を訪れた。復興支援特別委員そして岩手県の校友で平泉町の主査でもある小野寺委員から事前に平泉の説明、楽しみ方などが説明され、参加者たちはその情報をもとに、平泉町の荘厳な仏閣の数々の散策を楽しんだ。
岩手県コースに参加した校友たちからは「新聞やテレビで被災地のことがあまり報道されなくなったこともあり、自分の中でいつの間にか東日本大震災は風化しつつあった。現地を訪問し、復興への道はまだまだ半ばにあることを知った。そして震災の被害に負けず前を向いて歩いている人たちがいることを知った。被災地そして被災者がいることを忘れてはいけない。自分にできる形で復興支援に取り組んで行きたい」と意見が寄せられ、全工程が無事に終了した。
なお、校友会事務局からは古石章子校友・父母課員が参加した。
※東北応援ツアー参加者によるレポートは2014年度内に公表予定。