2013年11月2日(土)・3日(日)に「2013年度立命館大学校友会 復興支援事業 東北応援ツアー 岩手県コース」が実施され、全国から20名の校友と岩手県の校友7名が参加した。
東日本大震災復興支援特別委員会からは田邊裕委員(1999・経営)が参加し、田邊委員はツアーコーディネーターを務めた。
【1日目】
陸前高田市を訪問し、まず沿岸地区に設置された追悼施設の前で黙祷を行った。
続いて現地のボランティアガイドの説明のもと、「奇跡の一本松」を含む津波の大きな被害を受けた沿岸地区被災地を見学した。
津波で建物が流され、土台だけが残り草が覆い茂っている沿岸部。とてもそこに街があったとは信じられないほど何もない現在の風景。
ボランティアガイドは震災前に撮影された写真をかかげながら、震災発生時の状況、被害の状況、そして現在の状況の説明をし、参加者は全員真剣な面持ちで耳を傾けていた。
「被災地を見学し、現地の方々の話を聞いて、地震・津波がどれほど恐ろしいものなのかを身をもって感じることが出来た。震災発生から2年半以上経った今も、被災地には仮設住宅などで不自由な生活を強いられている方々がいることを忘れてはいけない。これからも被災地に寄り添っていきたい」と感想が寄せられた。
その後、参加者は宿舎に移動し、勉強会を行った。
勉強会ではまず校友の鬼丸昌也さん(2003・法)が創設したNPO法人「テラ・ルネッサンス」が取り組んでいる「大槌復興刺し子プロジェクト」の事務局員から、被災した女性たちの生活再建をサポートする同プロジェクトの取り組みについて話があった。その後行われた刺し子の販売会では、プロジェクトの内容に賛同した校友たちが、刺し子さんたちが刺繍を施したTシャツや布巾などを買い求めていた。
※大槌刺し子プロジェクトのHPはこちら⇒http://tomotsuna.jp/
休憩を挟んだ後、岩手県校友を交えた勉強会が田邊委員の司会のもと開催された。
はじめに岩手県校友会の菊池宏会長(1965・文)から挨拶があり、岩手県校友の被災状況や岩手県校友会による復興活動について説明があった。
続いて釜石市の職員である佐野美徳さん(1978・理工)が震災発生時に撮影された映像と共に当時の様子を話した。
自身も被災している佐野さんは津波の恐ろしさや、震災発生後の救援物資も行き渡らない真冬の厳しい状況を、現地の人々がどのように耐え忍んでいたかなどの体験談をし、最後に「当時の話をすると今でも胸が苦しくなる」と付け加えた。
参加者たちはテレビや新聞を通してでは知ることのできない当時の状況や体験談に、熱心に耳を傾けていた。
その後、参加者からの質問が受け付けられ、「震災当時に特に困ったこと、そして現在被災地の方々が困っていることは何か」など多くの質問が寄せられ、佐野さんをはじめとする岩手県校友会の参加者がその一つ一つに丁寧に答えた。
コーディネータである田邊委員の挨拶のあと、岩手県校友会の菊池会長の乾杯の発声で懇親会は開会した。
懇親会では、元日本代表で現在は海外のリーグで活躍中のサッカー選手、松井大輔さんから寄付されたTシャツとエコバッグが配布され、宮城県の校友と全国から集まった校友は同じTシャツを身にまとった。「東北応援ツアー」の趣旨に賛同した松井選手のお父様(校友)から寄付の申し出があった経緯や松井さんの被災地に寄せる思いなどが説明され、参加者たちは「同じTシャツを身につけると被災地の校友と心が一つになったような気がする。このような素晴らしいTシャツを寄付してくださった松井さんの心遣いに感謝したい」と喜んだ。
岩手県校友会から「雪っこ」など、地元の美味しいお酒の差し入れがあり、会は終止和やかな雰囲気の中進んだ。卒業年・卒業学部、所属校友会などの枠を越えて参加者は大いに懇親を深めた。
会の終盤には辻寛復興支援特別委員会委員長からの挨拶があり、最後には岩手県校友会の大橋健一副会長(1971・産社)の挨拶でお開きとなった。
【2日目】
最初に遠野市のNPO法人「遠野まごころネット」が運営するボランティアセンターを訪問し、活動内容などの説明を受けながら施設を見学した。
沿岸地域への移動時間が1時間という遠野市の地の利を活かし、全国各地からのボランティアや支援物資等を受付け、様々な支援活動を行っている同団体の説明を熱心に聞きながら、参加者たちは積極的に事務局スタッフに質問を投げかけていた。
※遠野まごころネットのHPはこちら⇒
続いて「見て、買って、食べて復興支援」をテーマに、遠野市伝承園を訪問した。
遠野地方のかつての農家の生活様式を再現している伝承園では語り部である「イセおばあちゃん」のやさしい語り口調の方言による遠野に伝わる昔話を聞き、参加者たちはその昔懐かしい雰囲気を堪能した。
昼食には遠野の郷土料理である「ひっつみ」や「けいらん」などに舌鼓を打った。
その後「銀河鉄道の夜」をイメージした「めがね橋」の近くの道の駅に立ち寄り、参加者たちは地元の名産品を購入した。
解散までのバスの中、東北応援ツアー:岩手県コースに参加した校友たちは「震災から2年半以上経った今も現地はまだまだ復興の半ばであることを知った。被災した人々や地域のことを決して忘れてはいけない。東北応援ツアーに参加することが出来てよかった」と口々にし、好評の中東北応援ツアー:岩手県コースは終了した。
なお、校友会事務局からは古石章子校友・父母課員が参加した。