2013年11月9日(土)・10日(日)に「2013年度立命館大学校友会 復興支援事業 東北応援ツアー 宮城県コース」が実施され、全国から20名の校友と宮城県の校友7名が参加した。
東日本大震災復興支援特別委員会からは今中智幸委員(1994・法)が参加し、今中委員はツアーコーディネーターを務めた。
【1日目】
南三陸町を訪問し、「防災対策庁舎」を含む津波の大きな被害を受けた沿岸地区被災地を見学した。
津波の多くの職員が犠牲となった南三陸町の防災対策庁舎の前で参加者たちは今中委員の合図で黙祷を捧げ、続いてボランティアガイドからの震災当時の話を聞いた。
津波が目の前に迫る中、自らの身の危険を顧みず、住民に避難を呼びかけ続け、多くの職員が犠牲となった防災対策庁舎。職員が命を掛けて続けた防災無線の内容、津波の威力、被害の状況など経験した人間でなければ分からない当時の話に、参加者たちは言葉を失った。
「新聞やテレビなどで、震災や津波の恐ろしさを分かったつもりになっていた。現地を訪問し、直接話を聞いて、地震、津波が自分の想像を遥かに超えたものだということが分かった。現地はまだまだ復興できていない。震災を風化させてはいけないと強く思った」と感想が寄せられた。
勉強会は今中委員の司会のもと、宮城県校友会の下村泰雄会長(1961・法)の挨拶で始まった。はじめに今回のツアーの宿舎「三陸花ホテル はまぎく」の女将から、同ホテルが大きな被害を受け、その後再建した話を含む挨拶があった。
次に宮城県の校友で大津波に襲われ、46年前の創業地である本店と3つの工場が流される被害に遭いながら、工場や店舗を再建し復興への一歩を進み始めた手造り笹かまぼこ「ささ圭」の佐々木圭亮さん(1977・産社)と佐々木靖子宮城県副会長(1976・文)ご夫妻が、震災発生時の詳しい状況、被害の状況、現在の状況などの説明をした。
「震災直後は避難所には食べ物がほとんどない状況だったので、手元に残った笹かまぼこを避難所で食べてもらおうと、何十箱とダンボールにつめて市役所に持っていきました。
箱に詰めている時に『もう二度と笹かまぼこを作ることができないだろう』と思いましたが、そのときは涙は出ませんでした。
当時はテレビはもちろん、新聞などから情報が得られない状態だったので、閖上がどのようになっているか分からない状況でした。
笹かまぼこを市役所に届けた際に新聞をはじめて見ました。その見開きには、津波に襲われた閖上の写真が掲載されていました。
それを一緒に見ていた誰かが『閖上はきまったな』と言いました。『きまった』とは閖上の方言で『終わった』という意味です。
その写真を見ると今でも涙が止まりません。あの日が来るまで私たちが普通に生活していた場所は一瞬にして海の一部となり、閖上は『地図から消えた町』と報道されていたことをあとから知りました。それを聞いたときは悔しくて、『絶対に閖上を取り戻さなくてはいけない』と思いました。
そのためには、かまぼこを造りつづけなくてはならないと思い、たくさんの方々に支えられてここまでやってきました」
と靖子さんは涙ながらに語り、聞いていた参加者たちの中には涙を流す者もいた。
会場を移動し、続いて懇親会が開催された。
コーディネータである今中委員の挨拶のあと、宮城県校友会の下村会長の乾杯の発声で会は始まった。
懇親会では、元日本代表で現在は海外のリーグで活躍中のサッカー選手、松井大輔さんから寄付されたTシャツとエコバッグが配布され、宮城県の校友と全国から集まった校友は同じTシャツを身にまとった。「東北応援ツアー」の趣旨に賛同した松井選手のお父様(校友)から寄付の申し出があった経緯や松井さんの被災地に寄せる思いなどが説明され、参加者たちは「同じTシャツを着ることで宮城県校友の方たちとの心の距離が縮まった気がする。松井選手からのプレゼントに感激した」と参加者たちは喜んだ。
宮城県校友会からは地元のお酒、佐々木さんご夫妻からは笹かまぼこが差し入れられ、和やかな雰囲気の中、参加者は、年齢や性別、卒業学部などの枠を越えて参加者は大いに親睦を深めた。
会の終盤には千田芳文宮城県校友会副会長(1974・文)のリードのもと立命館大学校歌が全員で斉唱され、最後には佐々木靖子副会長からの挨拶で締めくくられ、大盛況のままお開きとなった。
【2日目】
2日目は「見て、飲んで、観光して復興支援」をテーマに気仙沼市の沿岸部の被災地区を車窓から見学した後、同地区の道の駅を経由し現地の魚介類や加工品などの地元の食材や名産品を購入してから仙台城を訪問した。
仙台城では観光のほかに昼食をとり「伊達戦国武将隊」からのおもてなしを受け、「宮城県には美味しい食べ物や、素晴らしい観光地があることを知った。また是非旅行に来たい」と参加者は口々にした。
続いて1日目の勉強会で震災体験談をしてくださった佐々木ご夫妻が経営する笹かまぼこ「ささ圭」が出店する「閖上さいかい市場」を訪問した。
笹かまぼこの試食を食べた参加者たちは、その美味しさに感動し、多くが笹かまぼこを購入した。
閖上さいかい市場のHPはこちら⇒http://natori.in-shoko.com/saikai_ichiba/
※同市場は名取市閖上地区で震災の影響を大きく受けた店主や事業主が集まってオープンした仮設商店街です。
東北応援ツアー:宮城県コースに参加した校友たちからは「宮城県の被災地や、実際に被災した方たちからお話を聞いて、震災はまだ終わっていないと知った。震災の記憶は決して風化させてはいけない。これからも自分に出来る復興支援を続けて生きたい」と感想が寄せられ、東北応援ツアー宮城県コースは好評のうちに終了した。
なお、校友会事務局からは古石章子校友・父母課員が参加した。