2013年11月23日(土)・24日(日)に「2013年度立命館大学校友会 復興支援事業 東北応援ツアー 福島県会津コース」が実施され、全国から21名の校友と福島県の校友10名が参加した。
東日本大震災復興支援特別委員会からは田邊裕委員(1999・経営)が参加し、田邊委員はツアーコーディネーターを務めた。
【1日目】
「風評被害を学ぶ」をテーマに、地震・津波による被害は他の地区に比べ少なかったものの、原発事故による風評被害に苦しんでいる福島県会津地区を訪問した。
福島県校友会の馬場幸蔵副会長(1976・産社)が事務局長を務める「NPO法人プロジェクト福島屋商店」で商品販売をしている現地生産者の団体「会津活・活自然村」を一行は訪れた。
最初に「芋煮」や「きな粉もち」、生野菜が振舞われ、そのあまりの美味しさに何杯もおかわりする参加者もいた。
続いて代表の髙橋千鶴子さんから風評被害の現状、放射能への対策・取り組み、安全性、そして野菜の品質と味の良さについて説明を受けながら、畑を見学し、その場で収穫したキャベツやサラダ菜を試食した。参加者たちは「こんなにみずみずしく、甘くて美味しい野菜は初めて食べた!」と口々にした。「最初は『福島を応援したい』という気持ちだけで、活・活自然村の野菜を買いは始めたお客さんが、今ではその質と味の良さでリピート購入してくれている」と馬場幹事長から説明があり、皆が深く納得していた。
参加者からは「実際に地元の方たちから話を聞いてその安全性を知ることができた。震災後、『放射能は恐ろしいもの』という漠然とした不安から、知らず知らずのうちに福島の食べ物を避けている自分がいた。知ろうとすること、きちんとした知識を持つことが大切だと学んだ。これからは福島の野菜をどんどん食べようと思う」と感想が寄せられた。
次に一行は嘉永3年(1850年)創業の老舗「末廣酒造」に立ち寄った。
日本酒の良い香りが漂う蔵を見学しながら、その「米」「水」「人」にこだわった製法や酒造りの歴史についての説明を受け、その後日本酒の試飲をした。厳しい基準が設けられた放射能セシウム検査に通過しているにも関わらず、末廣酒造も風評被害を大きく受けている。「安全であることやその美味しさを周りに伝えることも復興支援」と、参加者たちの多くが日本酒を購入した。
※「活・活自然村」の野菜、「末廣酒造」のお酒は以下から購入できます。↓
負けるな福島応援ネットショップ「福島屋商店」HP http://www.fukushimaya-shoten.jp/
その後一行は宿舎「くつろぎ宿新滝」に移動し勉強会を行った。
勉強会は田邊委員の司会のもと、福島県校友会の桑原勇健会長(1969・理工)の挨拶で始まった。
まず三村智春副会長(1985・産社)から資料をもとに福島県の震災によって受けた被害状況、特に原発事故とその被害についての話があった。全国では報道されない福島の現状、福島の方たちの原発に対する考え、避難区域に住んでいた方たちの状況などについて詳しい説明があり、参加者たちは真剣な表情で耳を傾けていた。
次に馬場幹事長が事務局長を務める「NPO法人プロジェクト福島屋商店」について説明があった。同NPO法人は震災発生後に風評被害に苦しむ生産者達を応援するために立ち上げられ、その経緯や現在の状況などの話があり、参加者たちは熱心に聞き入っていた。
「起きてしまった原発事故。もう震災前の福島に戻すことは出来ません。お客さんは離れてしまい、もう二度と戻ってこない人も少なくはないでしょう。でも我々福島の人間は生きていかなければならない。もう元に戻らないのであれば、何か代わるもの、もっと魅力のあるものを見つけていかなければならない。震災から三年近く経ち、特に若い人たちは次のことを考え始めています。福島の『次』に繋がる新しい形の復興を考えて、一緒に歩いてもらえたら嬉しい」と馬場幹事長は話した。
続いて質問コーナーが設けられ、福島県の校友はその一つ一つに丁寧に答えた。
勉強会の終了後、会場を移し交流会が行われた。
交流会はコーディネータである田邊委員の挨拶のあと、福島県校友会の桑原会長の乾杯の発声で始まった。
懇親会では、元日本代表で現在は海外のリーグで活躍中のサッカー選手、松井大輔さんから寄付されたTシャツとエコバッグが配布され、宮城県の校友と全国から集まった校友は同じTシャツを身にまとった。「東北応援ツアー」の趣旨に賛同した松井選手のお父様(校友)から寄付の申し出があった経緯や松井さんの被災地に寄せる思いなどが説明され、参加者たちは「松井選手が被災した地域に心を寄せてプロデュースしたTシャツを福島の校友の皆さんと一緒に着ると、心の距離が近づいた気がする。松井選手、そして松井選手のご家族に感謝したい」と口々にした。
交流会では桑原会長や「末廣酒造」から地元のお酒の差し入れがあり、和やかな雰囲気の中、卒業年・卒業学部、所属校友会などの枠を越えて参加者たちは積極的に交流を深めた。
会の終盤には佐原順市さん(1972・経済)から茶道の話を交えた会津と京都の関係の話があり、参加者は興味深く耳を傾けていた。最後は馬場幹事長の中締めの挨拶でお開きとなり、参加者の多くが二次会へと向かった。
【2日目】
2日目は「見て、食べて、観光して復興支援」をテーマに、ツアーを実施した。
「白虎隊」の自刃した地である飯盛山や、重要伝統的建造物群保存地区に選定されている「大内宿」を訪問した。
「大内宿」には寄棟造の民家が建ち並び、参加者たちはその江戸時代にタイムスリップしたかのような町並みの散策をした。中には「高遠そば(ねぎそば)」や「岩魚サンド」など大内宿の名物に挑戦する参加者もおり、会津の秋を大いに楽しんだ。
福島県会津コースに参加した校友からは、「放射能という目に見えないものへの恐怖と風評被害に苦しんでいる福島県。『福島県を励ましたい』と思って参加した東北応援ツアーでしたが、前を向いて力強く歩を進めている福島県校友会の方たちに、逆に励まされ、力をもらった。福島のものを食べたり、旅行したり、生産者の方たちの安全への取り組みを周りに伝えるなど、自分にできる形で復興支援に取り組み、これからも福島県に寄り添っていきたい」と感想が寄せられ、東北応援ツアー:会津コースは好評のうちに終了した。
なお、校友会事務局からは田中康雄事務局長、古石章子校友・父母課員が参加した。