2013年11月16日(土)・17日(日)に「2013年度立命館大学校友会 復興支援事業 東北応援ツアー 福島県相馬コース」が実施され、全国から21名の校友と福島県の校友10名が参加した。
東日本大震災復興支援特別委員会からは今中智幸委員(1994・法)が参加し、今中委員はツアーコーディネーターを務めた。
【1日目】
最初に一行はバスで相馬地区、相馬港を訪問した。
相馬港湾建設事務の山内所長より、相馬港と同事務所が管理している施設の復旧状況等について、相馬港の震災前と震災後の写真を見ながら、説明を受けた。
「相馬港沿岸には住宅がぎっしりと立ち並んでいましたが、津波で高台にある家以外がすべて流されてしまいました」との説明があり、参加者たちは言葉を失った。
次に相馬地区の校友、立谷健二さん(1975・法)が営む「立谷味噌醤油店」を訪問した。
震災による津波の襲来で立谷さんは自宅、店舗、そして醤油や味噌の蔵などが流される大きな被害を受けた。「一回目の津波が引いたあと、近所の人が、避難していた高台から家に残してきた貴重品を取りに帰りました。その後、第二波、第三波と何度も大きな津波が押し寄せ、結局その人が避難所に戻ってくることはなかった。あの時私も一緒に戻っていたら、きっと命はなかったでしょう」と立谷さんは語った。その後参加者は津波で流されてしまった立谷さんの自宅などがあった場所を実際に見学し、震災当時の詳しい説明を聞き、その恐ろしさに参加者たちは衝撃を受けていた。
参加者たちは「立谷味噌醤油店」で、丹精込めて作られた美味しい味噌や醤油などを購入し、続いて伊達市内のアイスクリーム店「まきばのジャージー」に立ち寄った。
アイスクリームを食べた後、参加者が持参したガイガーカウンター(放射線測定器)で測定をしたところ相馬市内よりも高い数値が表示された。
「私達が住んでいる地域と比べると数倍の数値。通常に生活する上で健康への影響を心配する必要がないレベルとは言え、目に見えない放射能に恐怖を感じ、風評被害を受けながら生活する人々のこと考えると胸が締め付けられる」と参加者は口々にした。
その後一行は宿舎に移動し勉強会を行った。
勉強会は今中委員の司会のもと、福島県校友会の桑原勇健会長(1969・理工)の挨拶で始まった。福島県から参加の校友の自己紹介が行われ、自宅の除染作業の進捗状況などが報告された。
次に震災発生時に福島県校友会の会長であった富田良夫顧問から、全国の校友からの義援金・支援金へのお礼を含む挨拶があったあと、2011年3月11日当日の状況や福島県の被害の状況について説明があり、参加者は聞き入っていた。
続いて、質問が受け付けられ、除染の方法やその効果についてなど、活発に質問があがり、福島県在住の校友はその一つ一つに丁寧に答えた。
勉強会の終了後、会場を移し交流会が行われた。
コーディネータである今中委員の挨拶のあと、福島県校友会の桑原会長の乾杯の発声で会は始まった。
懇親会では、元日本代表で現在は海外のリーグで活躍中のサッカー選手、松井大輔さんから寄付されたTシャツとエコバッグが配布され、宮城県の校友と全国から集まった校友は同じTシャツを身にまとった。「東北応援ツアー」の趣旨に賛同した松井選手のお父様(校友)から寄付の申し出があった経緯や松井さんの被災地に寄せる思いなどが説明され、参加者たちは「松井選手が被災地を思ってプロデュースしたTシャツを福島の校友の方たちと一緒に着て、語り合うとより親密になれる気がする。松井選手に感謝したい」と口々にした。
交流会では福島県の校友から地元のお酒などの差し入れがあり、和やかな雰囲気の中、卒業年・卒業学部、所属校友会などの枠を越えて参加者たちは積極的に交流を深めた。
会の終盤には仲川将史さん(2006・法)のリードのもと立命館大学校歌と応援歌が全員で斉唱された。最後は横田道博副会長(1975・理工)からの中締めの挨拶でお開きとなった。
【2日目】
2日目は「見て、食べて、観光して復興支援」をテーマに、ツアーを実施した。
まず、馬場幸蔵福島県校友会幹事長(1976・産社)が事務局長を務める「NPO法人プロジェクト福島屋商店」で商品販売をしている瀬戸町の果樹園「やまと」を訪問した。
代表の阿部幸弘さんから、福島の気候にあった美味しいリンゴを作るための品種改良や健康な木を育てる取り組み、そしてその安全性についての詳しい説明があった。その後、阿部さんのご好意で参加者は特別にリンゴを試食させてもらった。
「福島の生産者の方たちが安全なものを作るために、大変な努力をされていることを知った。そして何よりも阿部さんの作ったリンゴが甘くて美味しく、驚いた。福島にこんなに美味しいものがあることを今まで知らなかった。これからはどんどん福島の物を購入しようと思った」と参加者は口々にした。
※果樹園「やまと」のリンゴは以下から購入できます。↓
負けるな福島応援ネットショップ「福島屋商店」HP http://www.fukushimaya-shoten.jp/
続いて高村光太郎の妻で「智恵子抄」で有名な「智恵子の生家」や「智恵子記念館」を訪問し、その後、日本の100名城の一つである「二本松城」を訪問し菊人形を観賞するなど、一行は福島県の名所を堪能した。
今回参加した校友からは「震災後、福島県に来てみたい、復興支援になることを何かしたいと思っていたが、若い人のように体が動かない自分はボランティア活動にも参加できず、何をしたら良いのか分からないまま今まで来てしまった。震災前と同じように『見て、食べて、旅行する』ことも復興支援になると福島の方たちから教えてもらった。自分にできる復興支援にこれからは取り組んでいきたい」と感想が寄せられ、東北応援ツアー:相馬コースは好評のうちに終了した。
なお、校友会事務局からは古石 章子校友・父母課員が参加した。