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特別寄稿     月ヶ瀬に魅せられて   猪飼 康紘(昭和44年 経営卒)2025年5月24日

大阪の中心地から、スーパーマーケットもコンビニもなく信号が一箇所しかない奈良市月ヶ瀬(旧月ヶ瀬村)に移住して1/4世紀を迎えました。
1ヶ月に2回月ヶ瀬の隣の伊賀市へ大阪から通って自然農法を学んでいるうちに自然豊かなこの地に住み、農薬や肥料を使わない自然農法で農作物を作り、自然エネルギー(①太陽光発電②太陽熱温水器③薪ストーブ④井戸水)を利用した農的暮らしを求めて移住したくなりました。幸いにも土地を貸してくださる方、家を建てる業者に恵まれ、私達の夢が実現できました。

森に囲まれ、鳥のさえずりと木々を渡る風の音しか聴こえない『月ヶ瀬・森の茶論(サロン)』と名付けた我が家にはいわゆる玄関がありません。三面がガラス張りのサンルームが出入り口で、どなたでも気軽に「こんにちわ!」と入ってこられて、お茶を飲みながらお喋りをする(論ずる)家になりました。 こられたお客さんには自然農法の野菜や米を使った手作りのお料理でおもてなしし、知りあったミュージシャンのライブをやったり、妻が栄養士の経験を生かして料理教室を開くようになりました。

民泊新法が出来、行政の担当者の方々の懇切丁寧な指導と後押しで、民泊『月ケ瀬・森の茶論』が2019年3月に誕生しました。未知のお客様や地域協力隊の若い人達との交流は想像以上に楽しく、私たちに刺激を与えてくれ、より豊かな生活を送れるようになりました。

恒例の味噌作りは自然農法で育てた米から糀を作り、自作の大豆と自然塩で作ります。今年は20代と30代の男女3人を交えての味噌作りとなりました。若い人に古来の発酵食品作りを伝承していくのも私たちの役目でもあり楽しみのひとつです。
現在は自然農法の農業の他に日本蜜蜂の養蜂に力を入れ製造・販売の許可も取り、昨年の夏休みには子供達が蜜の採取と採れた蜂蜜を使いハニーバウンドケーキ作りに歓声をあげていました。サンルームで鴬の鳴き声を聞きながら早春の柔らかい陽を浴び、遊びにきた若人達とお茶を飲んでいると、25年前の私たちの選択は間違っていなかったと実感しています。

 

 

 


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