や原哉6大阪・関西万博で、大阪府と大阪市が企業や大学とみCo.のCEOを務める富なが永ゆう勇APRIL 2025ふじわらしんさん(’03政策)等と共に産学官民一体となって出展する「Osaka Healthcare Pavilion : Nest for Reborn(大阪ヘルスケアパビリオン)」のクリエイティブディレクションをWhatever Co.が担当した。その統合ディレクターを務めるのが、藤原愼哉さんだ。大学時代は政策科学部。自由な学風の中、教養科目の「プログラミング」など幅広い分野に関心を広げた。3回生からは、教授に掛け合ってAIと都市政策をテーマにした二つのゼミに出席した。「両ゼミで学んで、テクノロジーと社会課題が結び付いた。新しいメディアを活用し、いかに社会の課題を解決していくかを考えるきっかけになりました。それが現在の仕事につながっています」。Whatever すけ亮大学で出会った。富永さんが在学中に設立に参画したクリエイティブ会社 AID-DCC Inc.のインターン生として仕事をしたのが最初だった。AID-DCC Inc.に入社後は、企業の広告やプロモーションを数多く手掛けた。2000年代前半は、インターネットが劇的に進化し、社会に急速に普及した時期。「新しいメディアを使って何ができるか、すごく興味が湧きました」と振り返る。ある企業の商品プロモーションでは、街の人に商品を使ってもらい、その反応を撮影した映像をWEBサイト上で公開するという、それまでにはない方法でPRを仕掛けた。結果は、大成功。「コンテンツに力があれば、メディアに関係なく、多くの人に届けることができると実感しました」2014年、富永さんら数名とともに独立し、2019年、新たにクリエイティブスタジオWhatever Co.に参画。プランナー/クリエイティブディレクターとして、多くのクライアントの課題解決や戦略立案、プロモーション企画に携わってきた。常に前例のないことに挑戦するがゆえに、仕事は困難の連続だ。「数多くの企画を考え、その中から絞りに絞って数案を提案し、採用されるのはたった1案だけ。採用されたとしても、思うような結果が出ないリスクもあります。それでも、これまで見たことのない面白いものによって成果が得られた時の喜びは、何物にも代えられません」と目を輝かせる。そうした中で2021年、大阪・関西万博とさん(’02産社)とも、立命館いう大きなプロジェクトに携わることになった。「大阪ヘルスケアパビリオン」のテーマは「REBORN (リボーン)」。“「人」は生まれ変われる”“新たな一歩を踏み出す”という二つの意味が込められている。パビリオンで展示されるのは、未来に実現を目指す、都市生活の姿。ゾーンごとにヘルスケアや医療、食、エンターテイメントなどの未来が描かれる。特に藤原さんらがこだわったのは、未来を「実体験」できる展示にすることだ。例えば、来場者はまず「カラダ測定ポッド」に入って、身体情報を測定。その情報から25年後の2050年の姿が生成され、来場者は「ミライのじぶん」と対面できるという。「ミライのじぶん」を見ることで、今の自分の認識や行動を見つめ直してほしい。今を少し変えれば、きっと「ミライのじぶん」が変わるはずです。自らの新しい一歩が、未来の可能性につながっている。それを体験してほしいと考えています」制作スタッフだけでも100名を超えるチームを統括する上で藤原さんが心掛けていたのは、「できるだけ早く進むべき方向を具体的に共有すること」「あらゆる情報に精通し、誰に何を尋ねられても答えられるようにしておくこと」だった。「このプロジェクトについて『一番知っている人』として信頼を得ることで、プロジェクトを推進していくことができました」本パビリオンに出展・協賛する企業や大学、自治体、民間団体は400以上に及ぶ。「組織のリーダーの中には、1970年の大阪万博に参加して、熱気を感じ、未来に希望を抱いたという人も少なくありません。だからこそ今回の万博にも、本気でより良い未来を願って参画されていることを強く感じます」と言う。万博には、世界中の国や企業が、これから先の社会や地球のためを思い、知恵を絞って生み出した技術やサービス、アイデアや考え方が結集する。「ぜひ若い人、子どもたちに来場してもらい、そこで体験した記憶を持ち帰ってほしい。それが次代のことを考えるきっかけになれば、うれしいです」今回の万博を経験したからこそ、「どんなに大きなプロジェクトでも、取り組み方や考え方は同じだ」と実感したという藤原さん。「これからもプロジェクトの大小にかかわらず、『より新しく、より面白く』を追求していきたい」と、思いを新たにしている。 愼より新しく、より面白く、を追求する。Whatever Co. 取締役/プランナー/クリエイティブディレクター 藤
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