秋あき葉ば武たけし産業社会学部研究テーマ:NPO・NGOのマネジメント、AUGUST 202416まって以降、日本を含めた多くの国々が「2050年ネットゼロ」を目標に掲げ、温室効果ガス(GHG)排出削減の取り組みを推進している。「こうした各国の気候変動対策が起爆剤となって、世界的にESG投資の普及が大きく進みつつあります」と秋葉武は解説する。ESG投資とは、財務情報だけでなく「Environment(環境)」や「Social(社会)」「Governance(ガバナンス)」といった非財務の要素を考慮に入れた投資を意味する。秋葉によると、2006年、投資の意思決定プロセスや株主行動にESGを考慮することを求めた「責任投資原則(PRI:Principles for Responsible Investment)」が策定されたことを契機としてESG投資が広がってきた。「2025年には世界の運用資産の3分の1がESG投資資産になるとの予測もあるほど拡大しています。欧州が先行してきましたが、日本でも2020年度の全投資資産の実に24.3%をESG投資が占めています」と言う。秋葉は最近の研究で、日本の保険会社・共済団体に焦点を当ててESG投資についての考察を行っている。「民間生命保険・損害保険会社や共済団体は、保険引受業務と資産運用の二つの事業で成り立っています。近年この業界でも資産運用においてESG投資が重要なテーマになっていますが、一方で誤っ▶www.ritsumei.ac.jp/research/radiant/教授立命館の研究者たち from 立命館大学の研究部から発行されている研究活動報『RADIANT』。 専門分野: 経営学(経営組織 経営管理)、社会学(社会問題・社会運動)、社会福祉学(ボランティア・福祉NPO国際福祉・福祉NGO)NPO・NGOの組織診断によるコンサルティング立命館大学研究活動報『RADIANT』(ISSUE21 脱炭素,pp.14-15,2023.9)より一部変更し、転載RADIANT(ラディアント)は、立命館大学の多様な研究活動を紹介する研究活動報として2015年11月に創刊号(特集:アジア)を発行し、今年で10年目を迎えます。RADIANTは、「光を放つ、光り輝く」という意味を持つ形容詞です。今後、立命館大学の研究成果が光り輝く未来を生み出す一歩に、また、これからの世界を照らす一助になるという意味が込められています。今後も一つのテーマを切り口に、立命館大学で展開されている研究を幅広く紹介していく予定です。保険業界から見るESG投資の今とこれから2020年にパリ協定の本格運用が始
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