校友会報「りつめい」No.294
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AUGUST 202411映像などのコンテンツを世に広げていくためには、インフラが不可欠です。1980年代から90年代にかけて、全国にレンタルビデオ店が増えたからこそ、当社が生み出したVシネマを人気コンテンツに成長させることができました。しかし今、海外の大手映像配信事業者が世界の市場を席巻している現状を見ると、あの時、日本発の映像配信サービスを育てきれなかったことに、悔しい気持ちが残っています。に伴い、代表取締役社長に就任しました。今は元社長と共に策定した「中長期ビジョン」の達成を使命と思い、全力で取り組んでいます。映画の製作と配給だけで収益を得ていた時代とは違い、現代では一つの作品をさまざまな形で活用し、収益を最大化することが重要になっています。まさにそうした新しい収益を生み出す仕事に長年携わってきた経験が、当社を率いる上で生きると思っています。最大の課題は海外での収益を伸ばすことです。10年後の2033年には、東映グループの海外の売上構成比率を50%にまで増やすことを目標に掲げています。今後は国内のみならず、世界中の方々に見ていただける作品を作っていきたい。そのためにオリジナル映像を企画・開発・プロデュースする新会社として株式会社FLARE CREATORSを設立しました。海外の製作チームとも組んで世界のニーズを取り入れながら、質の高い作品を企画・製作していこうと考えています。また東京撮影所内にLEDスタジオを新設。最先端技術を使った映像作品の制作に活用しています。衝撃を受けたのが、2024年にアメリカで配信された『SHOGUN 将軍』というドラマがアメリカをはじめ世界中で多くの視聴者を獲得したことです。一昔前に海外で製作された日本の時代劇には違和感がありましたが、今作は設定からストーリーまで私たちが見ても本格的で、非常に面白かった。世界中に配信プラットフォームが普及し、さまざまな国の作品を見られる環境が整ったことで、国や人種、文化に関係なく、面白いストーリーが国境を越えて受け入れられるようになったことをはっきりと感じました。当社は、東京と京都に撮影所を構え、時代劇制作の歴史もノウハウも豊富に持っています。今後、世界の人々に見ていただける魅力ある映像作品を作っていけると強く思っています。東映が設立されて70年余り。当社を100年続く企業に成長させるため、これからますます頑張らなければと気持ちを新たにしています。経営者の先輩校友より受け継いだ『木鶏』と面白い作品は国境を越える面白い作品は国境を越える2023年4月、手塚元社長の急逝

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