会報りつめい292号 デジタルブック
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伸び伸び仕事ができたのは、当時の上司の支えがあったからです。いつも言われていたのは、「われわれの仕事は、お客様の笑顔や満足を創り出す『幸せ創造業』だ。そのためには、まず自分が仕事を楽しみなさい。ワクワクする案件、新聞に取り上げられるような大きなビジネスを狙いなさい」という言葉。そのおかげで思い切った企画にも、ためらわずにチャレンジできました。もちろん失敗したこともたくさんあります。しかし上司は「案件がある人間にしか失敗はできない。ただし同じミスはするな。失敗から学べ」と、ポジティブに評価してくれました。他の誰よりも楽しそうに仕事をする上司の姿が、今も手本になっています。数え切れないほど企画してきた中でも心に深く残っているのが、入社して10年余り、京都の支店に勤務していた時に受注した旅行ツアーです。きっかけは、大手呉服問屋から「きものを着る機会を増やす斬新な企画はないか」と相談を持ち掛けられたことでした。企画を練る中で目をつけたのが、当時ブームだった世このツアーを実施して驚いたのは、日本文化がいかにヨーロッパでリスペクトされているかを知ったことです。きもの姿のお客様が現地の人と笑顔で交流するのを見て、いっそう日本文化に誇りを持つとともに、国際間の相互理解においてリアルな交流の大切さを実感しました。当社の仕事は、旅をつくることにとどまらず、人と人とのつながりを生み出すことなのだと確信を持ちました。界遺産です。きものと世界遺産には、「未来に残すべき大切な文化」という共通点があると思った私は、この二つを組み合わせるプランを思い付きました。世界遺産の街できものを着て地元の方々と国際交流する、名付けて「ユネスコきもの親善大使」プランです。街を練り歩くパレード、宮殿や市庁舎といった特別な場所でのパーティー、要人を招いたレセプションなど、きものを着たお客様を最高に輝かせる舞台を用意するとともに、収益の一部を現地に寄贈し、世界遺産の保全に使っていただくことも考えました。企画は高く評価され、受注を勝ち取ったものの、それを実行するのは簡単ではありませんでした。貴重な建造物の確保や要人への対応、現地のマスコミへの取材の呼び掛けなど、難しい交渉が可能だったのは、海外支店のネットワークがあったからです。私を筆頭に日本の支店と現地支店が一丸となり、総力を挙げて企画を実現させました。約300名のお客様を連れて、最初に訪れたのは、スペインのセゴビアという世界文化遺産都市です。セゴビア城でのレセプションや現地の人との交流パーティーでは、言語の壁を越えた文化交流が実現しました。さらにきもの姿のお客様と共に街中をパレード。沿道に詰め掛けた観衆に手を振り、堂々と歩くお客様の誇らしげな顔を見た時の、鳥肌が立つほどの喜びと達成感は忘れられません。「お客様の感動のそばにいつも寄り添っていたい」。そんな気持ちを改めて強くしました。DECEMBER 202310多様な人が長所を伸ばす「強い組織」に多様な人が長所を伸ばす「強い組織」に営業担当者からチームをまとめる管理職、支店長になって以降は、組織マネジメントに没頭しました。モットーにしたのが、プロレスラーだったアントニオ猪木さんの「元気

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