PROFILEAUGUST 202315食マネジメント学部の和田有史教授には 石田雅芳教授のイタリア食文化紀行にも 活動を通じて立命館大学の先生との つながりも広がっています。 鉄板会議に参画いただいたり、 興味津々です!一般社団法人日本コナモン協会会長熊谷真菜さんたこ焼きの文化を世界に発信しようと、大阪・道頓堀にあるたこ焼きの有名店を集め、協会主宰で「道頓堀たこ焼連合会」を立ち上げました。以来、全国のたこ焼き店を巡り、SNSで紹介しています。同じ時期に思いついたのが、新しい食文化となる大阪の新名物をつくることです。そこでコナモンの人気店やソースメーカーなどに呼びかけ、「道頓堀やきそば」を開発しました。特製の超極太麺に関西ならではのだしと濃厚な「道頓堀ソース」を絡めた一品。今では約60店舗で食べられます。食文化に関わる以上、見たり聞いたりするだけでなく、「必ず食べること」が私の信念です。口に入れて味わうことはもちろん、最後まで食べて、脳で、さらには腸でも味わいます。時には1日5軒、10軒とお店を回ることもありますが、全然平気です。からあげグランプリの審査ではひと月で140社、約10kgの試食をしています。それができるのも親譲りの強い胃袋のおかげだと、ありがたく思っています。「何でもやってみたい」と片っ端からやって、目が回りそうに多忙な日々。食べることが大好きで、あふれる好奇心が私の原動力です。海外も20カ国以上に赴き、その土地のコナモンを食べ、食文化に触れてきました。さまざまな食との出会いを全力で楽しむ様子をYouTubeでも配信しています。2022年はヨルダン、ベトナムを訪問。今年の夏にはモンゴルへ行く予定です。2013年に和食がユネスコ無形文化遺産に登録され、17年には文化芸術基本法に「食文化」が明記され、21年には文化庁が地域で受け継がれてきた食文化を「100年フード」と名付けて継承していく取り組みをスタートさせました。食文化に関わり始めて40年、ようやく普及・継承していく環境が整いつつあると感じています。「100年フード」事業の一環として、2022年にはお好み焼きなどの「鉄板コナモン」を未来に継承するための「鉄板会議2022」を全国各地で開催しました。大阪で開催した全国大会では、お好み焼きを返す道具の名前が議論の焦点に。コテかヘラかテコかで、熱く盛り上がりました。これから力を入れていきたいのが、日本各地の郷土料理や固有の食文化を記録していくことです。とりわけ関心を持っているのが、家庭の食文化です。各家庭で親から子へ、子から孫へと受け継がれてきた「食」を次代に残してほしい。手に入れやすい材料で、作りやすくて、しかもおいしい。これが「食」の本道だと思います。それを記録することは、庶民の知恵を歴史に刻むことだと考えています。たこ焼きも、安く手に入るタコや、不要になった工業用の鋳型を利用して作られたのが始まりでした。ところが今、タコが不漁で価格が高騰するなど、これまで通りの「庶民の味」を継続するのが難しくなっています。100年先まで継承していくために、その成り立ちを記録し、人々が知恵を絞ってつくり上げてきた歴史を残していく。それが私の役割だと思っています。やりたいことは尽きません。まだ60歳を過ぎたところ。あと30年は頑張るつもりです。ヨルダン、ペトラ遺跡近く、石焼きオーブンでパンの原型ホブズを習う兵庫県出身。立命館大学で「たこ焼き」をテーマに卒業論文を執筆。 同志社大学大学院を修了後も調査を続け、1993年、初の研究書 『たこやき』(リブロポート刊、後に講談社文庫)を出版した。たこ焼き 研究の第一人者として、全国や世界に広がりを見せるたこ焼きのフィールドワークを続けている。2003年、日本コナモン協会を設立。 コナモンをはじめ食文化の継承に尽力する。一般社団法人全日本・ 食学会理事。『大阪たこ焼33ヵ所めぐり』(西日本出版社、共著)、『「粉もん」庶民の食文化』(朝日新聞出版)など著書も多数。庶民の知恵を 庶民の知恵を 歴史に刻むことが役割歴史に刻むことが役割
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