会報りつめい291号 デジタルブック
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熊くま谷がい真ま菜なRITSUMEI INTERVIEWAUGUST 202312撮影: 二村 海一般社団法人日本コナモン協会会長大学時代に卒業論文で「たこ焼き」の研究を始めてから40年、 コナモン、さらには日本の食文化の普及・継承に力を注ぐ熊谷真菜さん。 食べることを愛し、旺盛な好奇心をもって今も食文化を探求し続けている。全ての始まりは、立命館大学3回生の夏、卒業論文のテーマに「たこ焼き」を選んだことでした。大学時代は、産業社会学部の井上純一先生のゼミで学びました。卒業論文の準備を始める時、「偉い学者の先生の書いたものを引用するような文献研究ではなく、自分の言葉で書きたい」という思いが強く、「それならフィールドワークで調べるしかない」と決心しました。テーマに浮かんだのは、関西になじみが深く、私も大好きな「たこ焼き」でした。兵庫県西宮市で育ち、幼い頃から祖母が作ってくれる、だし入りのたこ焼きが好きでした。外でも食べるようになって、ソースをつける大阪のたこ焼き、だしにくぐらせる兵庫の明石焼きと、見た目も味も家とは全然違うたこ焼きがあることを知りました。近いエリアにありながら、なぜこれほど違うのか。そこに興味を引かれ、たこ焼きの歴史を明らかにしようと決めました。当時は「食」が学問になるとは考えられておらず、いろいろな先生から「こんなの研究じゃない」と言われましたが、「絶対に調べたい」という気持ちは揺るぎませんでした。とはいえインターネットの口コミも、ガイドブックもない時代、もちろんたこ焼きに関する学術的な文献もありません。ひたすら店を訪ね歩き、創業の経緯や味の特徴、具材や作り方の由来を聞いて回りました。けれど取材する私も、受ける方も慣れていないので、全然うまくいきません。カメラを手に声を掛けても、怪しまれたり疎んじられたりして相手にしてもらえないことがほとんどで、取材の難しさを痛感しました。店だけでなく、たこ焼きの道具からもルーツを探りました。大阪のたこ焼き器は鋳物。明石焼きの型は、明石玉とコナモン協会設立20周年イベントの様子さん(’85産社)卒論で「たこ焼き」を調べたのが始まり卒論で「たこ焼き」を調べたのが始まり作って楽しく、食べておいしい。 コナモンの魅力を 100年先に伝えたい。

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