デジタルブック290号
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千ち早はや 茜あかねAPRIL 2023No.290120APRIL 2023203巻頭特集02輝くひと08RITSUMEIINTERVIEW16校友会未来人財育成基金17応援しよう、個のかがやきを。18つながる、ひろがる校友会20思い出のあの場所21立命館オンラインセミナーのご案内22学生の活躍~校友会ネットワーク~会報と大学・校友会の最新ニュースをメールでお届けします!編集室から立命館大学校友会報「ここから直木賞作家として、歴代受賞者に匹敵するような作品を毎回出していくという心構えができました。『続ける』ための賞だと思っています」『しろがねの葉』で「第168回直木三十五賞」を受賞した千早茜さんは、受賞後の所感をこう語った。最初に「本を書きたい」と思ったのは小学生の時、当時住んでいたアフリカのザンビアでのことだった。毎月5冊、祖父母が日本から送ってくれる本を心待ちにしていたが、届くとすぐに読み終わってしまう。幼心に「日本には本が少ないんだろう」と思い込み、「だったら自分が書けばいいんじゃないかと思ったんです」と振り返る。小説を書き始めたのは、大学時代。千早さんが学んだ人文総合科学インスティテュート(当時)は自由な雰囲気で、音楽や映画など表現活動に取り組んでいる学生も多かった。「初めて本について話せる友達ができたことがうれしかった。村上春樹の作品について何時間も語り合ったものです」と懐かしむ。ある時、映画を撮っている友達からストーリーを考えてほしいと頼まれた。「やってみたら、一晩で書けたんです。まるで初めて自転車に乗れた時みたいに、瞬間的に『あ、書ける』という感覚がつかめました。それからは次々と小説を書いていきました」プロの小説家になってからは、「自分で決める」ことを大切にしている。他人の評価はあいまいで、それに寄りかかったら自分の軸が揺らいでしまうからだ。毎年、毎作、自」を課し、それを守り通してきた。『しろがねの葉』では、初めて時代小説、それ分に「枷も一人の人生を描くことに挑戦した。戦国末期の石見銀山に生きる女性が主人公。「なぜその場所で生きていくんだろう」。物語はそんな疑問から生まれたという。「理解できないことがあった時、自分とは違う人に置き換えて生い立ちや生き方を想像してみると、少しだけのみ込みやすくなる気がします」と物語を紡ぐ意味を語る。また「物語には、人の心への定着力がある」と言う。「例えばおいしそうなご飯の写真をSNSに載せるより、恋人同士の朝ご飯のシーンを物語にした方が、人の心にずっと残る。それだけ物語は人にとって大事なものだと思います」「関心のあることが多すぎて、すべてを書くには人生が足りない」と千早さん。執筆計画は目白押しだが、「勉強もしたい。調理の専門学校に通いたいと言ったら、担当編集者に怒られるかも」と茶目っ気たっぷりに笑った。小説家千早 茜さん株式会社シオン 上席執行役員/演出 冨田 大介さん12立命館ファミリー14立命館の研究者たちfromRADIANT文学部 岡本 広毅 准教授 「時空を超え、現代日本を魅了し続けるアーサー王物語」かせ小説家(’03文)Present■PROFILE北海道出身。2003年、文学部卒業。2008年、 「第21回小説すばる新人賞」を受賞した。『魚神(いおがみ)』(集英社)にてデビュ一。2009年、同作で「第37回泉鏡花文学賞」、2013年、『あとかた』(新潮社)で「第20回島清恋愛文学賞」、2021年、『透明な夜の香り』(集英社)で「第6回渡辺淳一 文学賞」を受賞した。『あとかた』と2014年の 『男ともだち』(文藝春秋)はそれぞれ直木賞候補となる。2023年1月、『しろがねの葉』(新潮社)で 「第168回直木三十五賞」を受賞。アンケートにご協力いただいた方に抽選でプレゼントをお贈りします!24キャンパストピックス283.11復興への願い/29大学利用案内30INFORMATION掲載内容は2023年1月時点のものです。(一部特記箇所を除く)デザイン・ディライツ広告事務所さん輝くひと物語が心を動かす物語があるから、心に残る。

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