デジタルブック290号
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APRIL 202313長男 (写真左から2人目)仙葉 雄基さん(’19院理工)滋賀県在住 滋賀県立甲南高等学校 教諭三男 (写真右)仙葉 翔伍さん(院理工2)滋賀県在住 株式会社三菱UFJ銀行(内定)(写真右から2人目)赤堀 次郎教授立命館大学 理工学部 数理科学科次男 (写真左)仙葉 隼裕さん(’21院理工)千葉県在住 株式会社みずほフィナンシャルグループ同じ年に雄基さん(左)は大学院を修了、隼裕さん(右)は大学を卒業。研究室にて。Ộ同じ研究室で学んで良かったことはありますか。隼裕さん 「仙葉の弟」ということで、先輩にもすぐ覚えてもらえたし、兄のことを話の「ネタ」に早く打ち解けられたので、わからないことを質問する際にも、気後れせずに尋ねることができました。翔伍さん 私もそうですね。学部生にとって大学院生の先輩は少し怖い存在ですが、兄から先輩方の人となりを聞いていたおかげで親しみが湧き、臆せず接することができました。2人の兄を通じて交友関係が広がり、立命館に自分の居場所が増えていった気がします。隼裕さん 共通の友人・知人が多いので、「最近、あの彼が結婚したらしいよ」なんて、今でも大学の話題は尽きません。雄基さん 教員になったばかりの頃は、一番身近な後輩である弟たちに「ここはどういう風に説明したらわかりやすいかな」などと聞くこともありました。翔伍さん 家族の話題だけでなく、「立命館」をキーワードに兄弟の会話が広がることが多いですね。Ộ赤堀研究室での思い出を聞かせてください。赤堀教授 仙葉兄弟は三者三様です。長兄の雄基君は、同学年の中でもみんなを引っ張るボス的存在。一方次兄の隼裕君は、研究室でも弟気質で、翔伍君は盛り上げるのが得意な人気者という印象です。兄弟でもきっと、同じような役回りなのだろうと想像します。研究室では、学生同士が互いに教え合うピア・サポートの仕組みを積極的に取り入れています。リーダー肌の雄基君がその体制を構築し、みんなをまとめてくれました。雄基さん 私は自分がやるより、もっぱら仲間に助けてもらうタイプです。後輩のためのセミナーも、友達に頼んで開いてもらっていました。隼裕さん 私が3回生の時も、よく先輩にセミナーで教えてもらいました。友達には「お前は家でもお兄さんに教えてもらえるから、いいな」とうらやましがられたものです。赤堀教授 理工学部設立80周年事業の一環で、全研究室の学生・大学院生による研究紹介が行われた時は、うちの研究室を代表して雄基君が発表し、賞を取りましたね。雄基さん 大学院1回生の時、研究について英語で発表したことは、一番の思い出です。英語は大の苦手だったので、準備は大変でした。留学経験のある仲間に手伝ってもらって資料を作成し、当日まで必死に英語の原稿を覚えて発表に臨んだことを覚えています。赤堀教授 修士論文では、雄基君、隼裕君ともに素晴らしい研究成果を上げましたね。 隼裕君の論文は、海外の学術雑誌にも掲載されました。翔伍君はまさに今、頑張っているところです。隼裕さん 修士論文に向けて研究したことは今でも心に残っています。わからないところが出てくるたびに、赤堀先生に何度も質問に行きました。先生の食事中に部屋に飛び込み、教えていただいたこともあったと記憶しています。Ộ大学での学びが今生きていることは。雄基さん 高校の教員になって一番生きていると感じるのは、難しい問題にぶつかり、「わからない」と頭を悩ませた経験です。教え子の中には数学が苦手な生徒もいます。授業をする時は常に「わからない」と思っている生徒の視点に立つよう心掛けています。隼裕さん 現在は銀行で金融専門職としてリスク分析の仕事をしています。単にコンピューターに入力してリスクを計測するだけでなく、その意味を分析するためには、どのような数式が使われているのか、背景にある数学的理論を理解する必要があります。大学・大学院で数学の理論的知識を学んだことが役立っています。翔伍さん 私は大学院修了後、銀行で金融専門職クオンツとして働く予定です。今後赤堀研究室で身に付けた専門性を存分に生かしていきたいと思っています。赤堀教授 研究室では、隼裕君や翔伍君のような金融専門職を数多く輩出してきました。また雄基君のように、専門分野で活躍する数学に強い人材を育てる人も重要です。今や金融機関に限らず、社会のあらゆるところにデータサイエンスが用いられています。社会を支える領域をボトムアップしていくために、ぜひ3人にはこれからも数学の研究を続けて新たな知見を見いだし、論文を出し続けてほしいと願っています。今後ますます社会のあらゆる領域で数学の専門的な知識を持っている人材が必要になります。3人がその担い手になってくれることを期待しています。同じ年に翔伍さん(左)は大学に入学、雄基さん(右)は大学院に入学。

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