会報りつめい288号 デジタルブック
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PROFILEAUGUST 202211駐モルドバ特命全権大使片山芳宏さん世界最大、全長200kmにも及ぶワインセラーがあるなど、モルドバ共和国は観光地としても素晴らしい所です。校友の皆さんもいつの日かぜひ、お越しください広島県出身。1980年に経済学部を卒業し、外務省入省。外交官として、ルーマニアをはじめ、カナダやアメリカ、ウクライナ、ケニアなどで勤務。また東京の本省勤務時代は、国家安全保障や北米との経済関係など多岐にわたる問題を担当。2013年、SDGsのオープンエンド作業部会の会議で日本代表団を率いた。2020年1月、駐モルドバ特命全権大使に任命され、同年2月、モルドバに着任。モルドバ首都キシナウの市街地2022年2月、ロシアがウクライナに侵攻した時には、モルドバ大使館にも大きな緊張が走りました。モルドバはウクライナと国境を接しているため、直後から数多くのウクライナの方々のモルドバへの避難が始まりました。その数は累計で40万人を超えます(2022年5月20日時点)。緊迫した状況の中、胸を打たれることがありました。それは、モルドバの一般家庭の方々が、何万人ものウクライナからの避難民を自宅に迎え入れていると知ったことです。モルドバの人々の生活はそれほど豊かではありません。それでも「困っている人が来るなら助けなくては」と手を差し伸べる人々の温かさに触れ、わがことのようにうれしく思いました。日本をはじめ各国が資金を援助したり、遠く日本からJICAやNGOの方々も大勢来て、援助活動を行っています。私は時間の許す限りこうした支援機関・団体の方々とお会いして、相談に乗ったり、お手伝いできることを伺ったりしています。長年東ヨーロッパの国々で仕事をし、多方面で培ってきた人的なつながりが私の財産です。それを駆使し、私も“ALL JAPAN”の一員という気持ちで、各団体や専門家が少しでも良い環境で効果的な支援活動ができるよう手を尽くしています。再び平和が訪れたら、またモルドバで日本や日本文化を紹介したり、日本語を勉強したいと願うモルドバの方に場所や機会を提供したり、日本とモルドバの親交を深める取り組みを進めたい。さらに今後は、民間経済の交流の拡大もお手伝いしたいと思っています。日本企業による直接投資が増え、モルドバの人々がこの国にいながら日本企業で働くことができたら、将来きっと自らの力で自国の経済を発展させていけるようになります。駐モルドバ特命全権大使として残る任期をそのサポートにささげるつもりです。

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