会報りつめい287号 デジタルブック
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APRIL 202210お茶出しで体得したプロデューサー・マインド経験の全てを注ぎ、初監督した『鬼ガール!!』人とのつながりの大切さを学び、それまでなんとなく距離を置いていた同級生とも積極的に打ち解けるようになりました。4年間で自主製作した映画は20本にのぼります。映画製作を通じて同期の仲間がたくさんでき、先生方にもずいぶんかわいがっていただきました。鈴木岳海先生の「自分で枠組みを決めて『できない』と思うのではなく、『どうやって可能にしていくか』を考えなさい」という言葉が、今も新しいことに挑戦する時の力になっています。卒業後はアメリカで本格的に映画を勉強しようと考えていましたが、山田洋次監督の産学連携プロジェクト「山田塾」で映画の撮影現場に触れ、プロとして映画を作る面白さに引き込まれていきました。進路を決定づけたのは卒業間近の冬、大ファンだった三池崇史監督が京都で撮影していた映画の現場にスタッフとして潜り込めたことです。覚悟のいる挑戦でしたが、「何に代えてもやりたい」という気持ちが勝り、飛び込みました。最初に与えられた仕事は、三池監督へのお茶出しです。ただ求められた時にお茶を差し出すのではなく、監督がいつ、どんな飲み物を欲するのかを感じ取り、用意しなければなりません。三池監督からは「目の前にいる人の気持ちも分からない人間に、銀幕の向こうにいる大勢の人を楽しませることなどできないよ」と厳しい一言。教えられたのは、いわば「究極のプロデューサー・マインド」でした。とはいえ最初は失敗ばかり。それでも三池監督の一挙手一投足に集中しているうちに、だんだん「お疲れのようだから、少し甘めがいいな」「考え事をしているからコーヒーだな」と察することができるようになり、さらには役者の芝居のどこを見ているか、いつ台本を確認するかも分かるようになっていきました。こうして「目で盗んだ」監督としての技術は、今も役に立っています。忘れられないのは、それまでただの一度も名前を呼んでくださらなかった三池監督に、「元気」と呼ばれた時のことです。それが合図だったかのようにスタッフ全員から名前で呼ばれるように。「三池組」の一員として受け入れられた瞬間でした。それから1年間、「三池組」で助監督としてほとんど不眠不休で映画製作に没頭しました。「三池組」は日本映画界でも屈指の優秀なスタッフが集結している場所でもあります。「たくさんの仲間を作って、のし上がってやる」という気持ちで、どんなことも貪欲に吸収しました。「三池組」を皮切りに、フリーランスの助監督としてドラマやCM、ミュージックビデオなどさまざまな現場に参加し、経験と人脈を増やした20代。そんな中で出会ったのが、立命館大学の先輩で映画監督の瀬木直貴さんです。BS NHK「謎解きLIVE」シリーズで初めてプロデューサーをしていた僕にお声がけいただき、瀬木さんが監督した『マザーレイク』(2016)、『恋のしずく』(2018)、『いのちスケッチ』(2019)でプロデューサーとしての経験を積みました。私にとって挑戦だったのが、瀬木監督とともに「地域創生映画」を手掛けたことです。地域に深く入り、地域の魅力を最大限取り入れた映画作り。地域の人や物、資金の協力を得る一方で、キャスト・スタッフが地域の宿や店を利用したりするなど、人を呼び込み、経済を回すことで地域の活性化にもつながります。私も地域に泊まり込み、飲食店協会に足を運んでスタッフ・キャストの食事の

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