校友会報「りつめい」No.283(2021 JANUARY)
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増ます田だ 梨り花か 教授 人間科学研究科立命館大学研究活動報『RADIANT』(ISSUE8こころ,pp14-15,2018.3)より一部変更し、転載RADIANT(ラディアント)は、立命館大学の多様な研究活動を紹介する研究活動報として2015年11月に創刊号(特集:アジア)を発行し、今年で6年目を迎えます。RADIANTは、「光を放つ、光り輝く」という意味を持つ形容詞です。今後、立命館大学の研究成果が光り輝く未来を生み出す一歩に、また、これからの世界を照らす一助になるという意味が込められています。今後も一つのテー▶http://www.ritsumei.ac.jp/research/approach/vision/activities/マを切り口に、立命館大学で展開されている研究を幅広く紹介していく予定です。 発達時期発達心理学への第一歩キーワード生涯発達ラヴ・ユー・フォーエバー岩崎書店 1997お母さんが赤ちゃんを抱っこしながら歌を歌う。赤ちゃんはやがて少年になり反抗期を迎えるが、それでも母親は少年が眠っているのを確かめて、抱っこしながら歌う。大人になった少年と老いた母親の姿までを描きながら、親子の絆を語る絵本。作=ロバート・マンチ 訳=乃木りか、絵=梅田俊作発達時期乳児期キーワード顔の認知かおかお どんなかおこぐま社 1988はっきりした線と色で描かれた表情が、バラエティー豊かに登場する。輪郭だけの顔に目•鼻•口が順に書き足されていくページでは、そのひとつひとつを確かめながら読み進めることができる。ユーモアもあり、大人でも十分楽しめる一冊。作•絵=柳原良平発達時期児童期キーワードいじめきずついたつばさをなおすには評論社 2008都会の真ん中で、翼を痛め落下してきた1羽の鳥。気づいたのはウィル一人だった。再び飛べるようになるまで温かく寄り添うウィルの姿と、生命のたくましさが描かれている。人の心の傷も、こうして癒やされるのではないかと考えさせられる。さく=ボブ・グラハム やく=まつかわまゆみ研究テーマ:絵本を用いた臨床心理面接法に関する研究、学校現場における発達障がいの生徒の発見と対応に関する研究、絵本を活用したピア・サポートトレーニングの導入と活用の研究専門分野:子ども学(子ども環境学)、教育心理学、臨床心理学、特別支援教育子どもの心理的・身体的成長過程ごとのキーワードを軸に選ばれた絵本。発達心理学の視点から、子育てに悩む保護者を支援できるような絵本が紹介されている。金沢市立玉川こども図書館との共同プロジェクトによる「発達心理をベースとした絵本の研究」より一部を抜粋発達時期胎児期から新生児期キーワード妊娠・出産あかちゃんのゆりかご偕成社 2002お母さんは妊娠中。お父さんがゆりかごを作ると、おじいちゃんとおばあちゃん、そしてお兄ちゃんは赤ちゃんのためにゆりかごを飾り、赤ちゃんがやってくるのを待っている。家族の温かさと赤ちゃんを待つ喜びを感じさせる絵本。作=レベッカ・ボンド 訳=さくまゆみこ発達時期幼児期前期(1歳3ヵ月〜3歳前半)キーワードイメージ(見たて、ふり)ふねなのねブロンズ新社 2004男の子が箱を船に見たて、川へ漕ぎ出して行くごっこ遊びを始める。最初は箱だった船が本物の船に変化していく様子から、男の子の想像の世界が広がっていくことがわかる。誰もが経験するごっこ遊びをわかりやすく表現している。ぶん=中川ひろたか え=100%ORANGE発達時期児童期キーワードギャング・エイジ(仲間関係)あのときすきになったよ教育画劇 1998時々おしっこをもらすのでクラスのみんなから「しっこさん」と呼ばれている女の子。しっこさんとわたしは、互いに意識しながらも仲良くなれずにいた。しかし、彼女の優しさや勇気を垣間見たわたしは、次第に心を開いていく。さく=薫くみこ え=飯野和好発達時期胎児期から新生児期キーワード原始反射わたしのあかちゃん福音館書店 2006赤ちゃんが産まれてから4日目までの様子と、お母さんの喜びや不安を描いている。産まれたばかりの赤ちゃんに特有の動きや、はじめてのうんちがどのようなものかなどをわかりやすい言葉で説明した科学絵本。ぶん=澤口たまみ え=津田真帆発達時期幼児期後期(3歳後半〜就学まで)キーワード数概念こねこ9ひきぐーぐーぐーポプラ社 2009全て色の異なる9匹の猫が、1匹また1匹と目を覚ましては去っていくというシンプルな展開。登場する猫が、始まりから終わりまで同じ大きさ•同じ位置で描かれているので、数や空間がわかり始めた子どもの理解の助けとなるだろう。さく•え=マイケル・グレイニエツ発達時期思春期から青年期キーワード永続性の理解ひとりぼっち(あなたへ2)岩崎書店 1996人とのつながりを見失った時に襲われる孤独感。ひとりぼっちは心にぽっかりと穴のあいた人。あなたの周りにいるひとりぼっちの人。年をとった人、病気の人、友達のいない人。そんな人を「あなたはあたためることができる」と結ばれている。文=レイフ・クリスチャンソン訳=にもんじまさあき 絵=ほりかわりまこわたせ氏の絵本の読み聞かせも行っている、増田教授が活動している絵本ジャズのチャンネルはこちら。JANUARY 202113年代を超えて、心に深く働きかける絵本絵本と音楽のコラボレーションで震災後のストレスを和らげる。

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