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京都再訪昭和55年法卒の佐藤さんから、最近京都を訪ねたときのあれこれをお寄せいただきました。可能なら、県内に住む校友が京都(あるいは草津)を再訪したときに見た最近のまちの様子や思い出話などをシリーズで掲載してゆきたいと思います。2006 年 11 月 26 日

2006年11月26日 

京都の北方に連なる北山は、学生時代にワンダーフォーゲル部に所属していた僕にとっては、懐かしい場所です。
出町柳近くの賀茂大橋から見る北山の連なりと、その手前の糺の森、三角デルタの遠近感のある見晴らしは僕のお気に入りでした。
三角デルタは高野川と賀茂川が合流し鴨川となる地点で、学生たちのコンパや楽器の練習場所にもなっていました。
広小路にあった大学からの帰り道、この橋のたもとに自転車をとめ、夏の頃なら遠く霞む山並みを、秋の頃なら紅色の山肌から紅葉の進み具合を知るといったように、四季折々に変わる景色を楽しんでいました。

この10月にワンダーフォーゲル部の50周年記念パーティがあったので、娘と嫁さんを連れて京都に行ってきました。
パーティの翌日、10月22日は鞍馬の火祭りのある日で、これを見るため、出町柳に向かいました。
出町柳は古くは北山の集落と都との物資の中継地点で、今も古くからの商店街が残っています。出町の謂れは“出る町”からと聞いたことがあります。
この街を題材に写真集を出した甲斐扶佐義氏がオーナーの喫茶店「ほんやら堂」もちゃんと残っていました。
賀茂大橋からの眺めは昔どおりで、違っていたのは高野川と賀茂川、二つの川を跳び石伝いに渡れるようになっていたこと位でした。

京福電鉄出町柳駅から鞍馬に向かう一両編成の電車に乗り込みました。
時間があったので、貴船で途中下車し、歩いて芹生峠を越え、雲取山に麓にあるワンゲルの山小屋を訪ねてみたのですが、さんざん道に迷い往復4時間余りのハードなハイキングになってしまいました。
杉の林の多い北山にあって、山小屋の周りはトチノキなどの落葉広葉樹が広がる明るい谷間で、傍らの清冽な沢水といい昔のままでした。

火祭りは由岐神社の例祭とのことですが、学生時代はその由来を知ろうともせず、「サイレイサイリョウ」の掛け声、太鼓の音、松明の炎、それらが醸しだす雰囲気が大好きで、毎年、見に行っていました。
この日、鞍馬駅を降り立ったときに感じた、杉の木が燃える匂いは、その頃の記憶を一瞬のうちに甦らせました。

鞍馬の火祭りは、京都の市街地にとっては紅葉シーズンの始まり、芹生、花背といった山間の集落にとっては、冬の訪れがそう遠くないことを告げる祭りだったように思います。
街中は晴れていても、時雨に潤んだようにかすむ、賀茂大橋から見た晩秋の北山。それを眺めていた30年近く前の自分。
冬間近の仙台で、京都旅行の写真を整理しながら、そんなことを思い出していました。
(S55年法卒 佐藤。写真は本年10月22日に賀茂大橋から撮影したもの)

 


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