第4回立命館大学上田寛刑法・犯罪学ゼミ会の開催報告が届きましたので、以下掲載いたします。
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2020年12月13日午後2時より第4回立命館大学上田寬刑法・犯罪学ゼミ会がオンラインで開催され、九州、四国、関西、関東の各地から上田先生と8名のゼミ卒業生が集いました。
前半は、刑法・犯罪学ゼミらしく、金尚均氏(龍谷大学法学部教授、1990年卒)による「安楽死・嘱託殺人について」と題する講演とそれに基づく議論が行われました。講演では、京都のALS(筋委縮性側索硬化症)の女性患者に頼まれて殺害したとして医師2人が嘱託殺人罪で起訴された事件の紹介、安楽死に関する日本の判例や諸外国の状況の説明、前記京都の事件の評価等がなされました。その後の議論では様々な意見、感想が述べられ、上田先生からは、医師による臨死介助について、本人の同意が決定的だが、家族の意向等の外部の条件に影響される点で純粋な本人の同意というものはないのではないか、だとすれば同意のみによる免責は難しく、生命には社会的法益の側面もあることから違法性は否定できないが、可罰的違法性が阻却される場合があるとの見解が示されました。個人的には、ドイツで今年2月、営利目的の臨死介助を禁止する刑法217条が死に関する自己決定権に反するとして違憲・無効とされたことに関し、会員制団体の臨死介助には問題があるものの、孤独死に比べればよりよい死であるという考えが背景にあると知り、この点が最も印象に残りました。
後半の懇親会では、自己紹介の後、講演の余韻冷めやらぬ中、安楽死、脳死移植、終末期医療、がん告知等々、硬派な話題で盛り上がりました。リビング・ウィルの重要性が強調されるなど、まるで勉強会のようでしたが、楽しく親睦を深めることができました。
次回は来春、可能であればレストラン「キエフ」で開催することを確認し、閉会しました。
文責・豊田兼彦(1996年卒)