会報りつめい291号 デジタルブック
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吉よし積づみ 巳み貴き食マネジメント学部研究テーマ:持続可能な食と地域づくり専門分野:環境政策、環境教育、地域づくりまた吉積らは、琵琶湖で取れる湖AUGUST 202317 今号は『RADIANT』に掲載された研究内容をご紹介します。立命館大学研究活動報『RADIANT』(ISSUE19地域/Regional,pp.4-5,2022.11)より一部変更し、転載RADIANT(ラディアント)は、立命館大学の多様な研究活動を紹介する研究活動報として2015年11月に創刊号(特集:アジア)を発行し、今年で9年目を迎えます。RADIANTは、「光を放つ、光り輝く」という意味を持つ形容詞です。今後、立命館大学の研究成果が光り輝く未来を生み出す一歩に、また、これからの世界を照らす一助になるという意味が込められています。今後も一つのテーマを切り口に、立命館大学で展開されている研究を幅広く紹介していく予定です。もかかわらず、それが認知されていないことが、地域の人々と食資源が離れる一因になっています。私たちの調査結果を地域に発信することで、地域の人々の認知や理解を高めていく必要があると改めて実感しました」。調査結果は高島市に提供され、地域の食産業政策に生かされている。魚についても詳細な調査を行った。背景には若い世代を中心に湖魚を食べる習慣がなくなり、需要が減少しているという課題がある。「豊かな湖魚食文化を次代に継承していく仕組みや方法を見いだすため、湖魚食の新しい可能性を探りたい」として、琵琶湖の伝統的な漁業と湖魚食文化、さまざまな湖魚の販売推移や消費動向などを調査。水産加工・販売業者・外食事業者らが湖魚の消費拡大に向けて取り組んでいる事例を集めた。「創業から230年以上を数える老舗のふなずし店が『ふなずしを使ったパスタ』を開発し、現代の食習慣に合った食べ方を提案するなど、革新的な取り組みを発見しました」。現在は調査範囲を滋賀県全域に拡大。湖魚食の実態を捉えるとともに、湖魚を使った新たなレシピを開発して飲食店に提案するなど湖魚食文化を広げる可能性を模索している。さらに吉積の関心は、観光業との連携や人材育成にも広がっている。高島市の観光協会と連携し、高島市をフィールドにSDGsについて学べる教育旅行を企画し、観光・教育事業に着手した。「SDGs人材、環境人材の育成につながる環境学習プログラムの開発に向けた研究も行っています。行政、農家や漁師の方々、企業、住民の方々などと連携し、学生が地域で学べる場をつくるだけでなく、教育を通じて地域にも貢献できる仕組みを考えていきたい」と展望している。▶www.ritsumei.ac.jp/research/radiant/ 教授滋賀県の豊かな食資源を持続可能な地域づくりに生かす

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