校友会報「りつめい」No.285(2021 AUGUST)
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西にし原はら 陽よう子こ情報理工学部 立命館大学研究活動報『RADIANT』(ISSUE11ことば・文字・コミュニケーション,pp.18-19,2019.7)より一部変更し、転載RADIANT(ラディアント)は、立命館大学の多様な研究活動を紹介する研究活動報として2015年11月に創刊号(特集:アジア)を発行し、今年で7年目を迎えます。RADIANTは、 「光を放つ、光り輝く」という意味を持つ形容詞です。今後、立命館大学の研究成果が光り輝く未来を生み出す一歩に、また、これからの世界を照らす一助になるという意味が込められて います。今後も一つのテーマを切り口に、立命館大学で展開されている研究を幅広く紹介していく予定です。 ▶http://www.ritsumei.ac.jp/research/approach/vision/activities/おれ世の中にはありとあらゆる情報が 教授立命館の研究者たち from あふれている。しかしその中から必要な情報を選び出すことができなければ、それらは無価値なままだ。コンピュータの情報処理能力の向上によって大容量の情報を処理・分析できるようになるに伴い、情報活用の可能性は大きく広がっている。大量のデジタルデータを分析することで、それまで気付かなかった有益な情報を見出すことも可能になっている。西原陽子はテキストマイニングなどの情報抽出技術を使って人にとって有益な情報を抽出、可視化することで情報活用の可立命館大学の研究部から発刊されている研究活動報『RADIANT』。 YES/NO for a buried role word in a comic text.from the options.?出典:Quiz 1の画像「プラチナジャングル」©篠原 正美 Manga109より Quiz 2の画像「平成爺メン」©やまだ 浩一 Manga109より研究テーマ:インタラクションの分析と設計、創造的活動の支援 専門分野:ヒューマンインタフェース・インタラクション、知能情報学、ウェブ情報学・サービス情報学、 図書館情報学・人文社会情報学能性を広げる研究を行っている。テキストマイニングとは、言語解析によって文章や単語の集まりを単語に分割し、出現頻度や相関関係を分析することで有益な情報を抽出する分析手法だ。この技術を活用した西原の研究成果の一つが、マンガやアニメを使った外国人向けの日本語学習ツールの開発だ。「研究室で学ぶ外国人留学生の多くが日本のマンガやアニメを通じて日本語を習得していると知り、これを言語教育に生かせないかと考えたのがきっかけでした」。西原は開発の経緯をこう語る。しかし一口にマンガと言っても少女マンガから青少年向けのアクションやファンタジー、成人を主人公にした職業マンガまでジャンルは多岐にわたる。例えば企業で働く外国人なら、少年向けのアクションマンガよりも職業マンガを読む方がより日常で使う日本語を習得できるだろう。そこで西原は、対象者の属性に応じて日本語習得に適切なマンガを自動的に選出するシステムを考えた。西原は、まず学術研究用に公開されているマンガのデータセット“Manga109”の作品をスキャンしてマンガ内の全ての文字をデータ化した。次に言語処理のソフトウェAUGUST 202112日本語学習者の「役割語」の理解度を確かめるクイズ □ □ □よ □じゃ □ですわ四角の中の役割語が最も適切な役割語かどうか ⃝×で回答してください。空欄に当てはまる最も適切な役割語を選択肢から選んでください。Choose an appropriate role word Quiz 1Quiz 2有益な情報を抽出し、大量のデータから

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