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利用者が実名で投稿した「口コミ」からAPRIL 20214全国の飲食店やグルメ情報を検索できる実名型グルメサービスサイト「Retty」。「顔が見える実名での口コミ」「批評ではなくオススメを書き込む」「個々の好みに合った探し方ができる」というコンセプトが多くのユーザーの支持を集め、日本最大規模の実名口コミグルメサイトに成長した。梅田亮さんがサイトを運営するRetty株式会社に中途入社したのは2015年。「社長をはじめ当時20名ほどいた社員のほとんどと話して、自社のサービスや事業に対するみんなの情熱に心を動かされました」と振り返る。気付いたら「この人たちと一緒に仕事をしたい」と転職を決意していたという。中学・高校時代はラグビーの強豪校で活躍した梅田さん。ラグビー大国・ニュージーランドへ遠征したこともあり、海外に関心を抱くようになった。ラグビーへの情熱を燃やして立命館大学に進学したものの、わずか数カ月後、けがで競技の継続を断念。それからは失意を振り払うように海外旅行に熱中し、バックパックを担いで世界30カ国を旅した。「大学でも国際経済を専攻し、将来はグローバルに活躍できる仕事に就きたいと次第に考えるようになりました」と語る。卒業後は大手航空会社やコンサルティング会社など複数の会社で経験を積む。そこで実感したのは、自分の知らない分野にもおもしろい仕事がたくさんあるということだった。「想像もしていないところに好きなことや自分に適したことがあるかもしれない。そう思い、『うちの会社に』と声を掛けられた時には最初から拒否せず、まず話を聞くようにしてきました」と言う。その中で自分が魅力を感じるのは、会社の規模や事業内容よりも「人」だと気付いた梅田さん。Rettyに入社を決めた時も、重視したのは「何をするか」ではなく「誰とするか」だった。Rettyに入社して5年、現在は広告コンテンツ部門の担当執行役員を任されている。「Rettyのサイトに掲載する広告の営業や、サイトを通じて収集した飲食店情報や利用者の口コミ情報などのビッグデータを顧いつの時代、どんな状況であっても、新社会人としてスタートするという点では同じです。現状を悲観する必要はまったくありません。今、自分にできることを見つけて、これから前向きに挑戦していってください。客企業のマーケティング支援に生かす事業を手掛けています」と言う。しかしこの1年、新型コロナウイルスの感染拡大によって、飲食業界を取り巻く環境は一変した。だが梅田さんは、「これが新しい体験価値が生まれるチャンスになると、強い期待を持っています」と言い、こうした時こそポジティブな側面に目を向ける。「テイクアウトやデリバリーが増えたのもその一つです。これまで日本は海外と比べてこの分野が遅れているといわれていました。しかしコロナ禍において、自宅で過ごす生活スタイルが主流になる中で、持ち帰りや宅配が新しい価値として定着しつつあります」と語る。梅田さんはもう一つ、「外食の価値」が高まっていることにも注目する。「飲食店が開いていないと、食事ができないだけでなく、人とゆっくり話をする場所を見つけることもままなりません。飲食店は『食』を満たすだけでなく、人や社会とつながる上で欠かせない場所なのだと気付き、『外食の価値』を再認識する契機になったのではないかと感じています」と言う。こうした中でRettyも、新しい暮らしの中で生まれた価値に焦点を当てた事業に着手している。「店舗の『密』状況を可視化する技術や、飲食店のテーブルに置かれたモバイル機器を使い、店員さんと接触することなく注文や会計を済ませるモバイルオーダーなど、コロナ禍で先進技術の導入が進みました。当社でも現在、モバイルオーダーなどの技術を使った新サービスの提供に力を注いでいます。これまで当社は、グルメサイトを通じて飲食店にお客さまを呼び込むことに事業を集中していましたが、この機に新事業への展開を加速し、事業の幅を広げようとしています」と語る。梅田さんの部門でも、飲食店の人流データなど自社で持つデータをフル活用して飲食店を支援する新しいサービスを創出したり、政府への提言につなげたりするなど、これまでにない挑戦を考えている。「外食産業は日本が世界に誇る文化です。それを支えることで、共に成長し続けていきたい」と梅田さん。常に前向きに、明るい未来を見据えている。新校友へのメッセージ

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