校友会報「りつめい」No.283(2021 JANUARY)
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土つち田だ 英ひで生おさん(’85産社入学)演劇との出会いは、立命館大学に入学した年のRITSUMEI INTERVIEWJANUARY 20218撮影:二村 海蓬莱セミナーハウスで「劇団立命芸術劇場」の合宿中春、新入生向けのクラブ・サークル勧誘で「劇団立命芸術劇場」に誘われたことでした。子どもの頃から人前に出るのが好きで、小・中学校ではよくクラスメイトを前にふざけて笑わせていたこともあり、最初に興味を持ったのは落語研究会でした。でも話を聞いてみると、活動方針が自分に合わず、次に覗いたのが「劇団立命芸術劇場」。「うちの劇団は、何でもあり。好きなことができるよ」という言葉に惹かれて入部しました。ところが入ってみたら意外にも体育会系で、想像していた自由な雰囲気にはほど遠く、最初はそれが嫌で仕方がありませんでした。一変したのは、1回生の12月。劇団の公演で、劇作家・鴻上尚史さん作の『デジャ・ヴュ』の主役に抜擢されたときでした。それまでにも端役での出演はありましたが、主役は初めて。開演前には、舞台袖で過呼吸になるほど緊張しました。幕が開いて舞台に出て行った後のことは、ほとんど覚えていません。公演が終わって後片付けをしているとき、気がついたら涙が止まらなくなっていました。無我夢中で役に没頭できたことに、何とも言えない充実感を覚え、胸がいっぱいになったんです。それまでは友達と笑い合っているときでさえ、心のどこかに虚無感を抱えていたように思います。けれど舞台を終えた後には、ずっと消えなかった虚しさも悩みも全部吹き飛んでいました。われを忘れて夢中になる経験をして初めて「演劇に対して強烈な恋に落ちた」気がします。「俺は一生演劇をやる!」と心に決めたのは、その時です。それ以来演劇に没頭し、大学生活を過ごしました。3回生の後期になると、同級生は皆、事実上引退し、就職活動に立命館大学の演劇仲間を中心に結成したMONOの活動は、30年以上に及ぶ。京都を拠点に活動する劇団「MONO」の代表であり、劇作家・演出家・俳優として多彩な才能を発揮する土田英生さん。大人気テレビドラマ『半沢直樹』に出演するなどテレビや映画にも多方面に活躍の場を広げる土田さんに、今も変わらない演劇への想いを聞いた。劇作家・演出家/劇団「MONO」代表言葉にならない感動を共有する だから舞台はやめられない

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